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    自由な意見表明をとがめだて/金銭解決制の検討会で/学者委員が労働者委員を非難

     解雇の金銭解決制導入が話し合われた厚労省の有識者検討会(1月30日)で、労働法学者の委員が連合参与である長谷川裕子委員の意見内容をとがめる場面があった。推進派に都合の悪い指摘を抑え込むような態度に対し、検討会座長(荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)は問題視することもなく、審議を終了させた。

     長谷川委員の発言は、労働者の申し立てに限定して制度を導入しながら、次の法改正で使用者の利用を可能にするのではないかとの疑念を投げ掛けたもの。これに対し、土田道夫委員(同志社大学大学院法学研究科教授)は「(使用者の申し立てが可能になるというのは)経験則による発言であり、議論を封殺することになるのでやめていただきたい」と語気を強めて非難した。これが全委員の最後の意見表明となった。

     労働者派遣法をはじめ、最初は適用対象を限定して導入し、後に規制を緩和して適用対象を広げるやり方は、労働法では広く行われてきたこと。長谷川委員が疑問を呈するのは当然であり、労働運動に携わる多くの人々に共有されている疑念でもある。

     会議の初めに「自由な議論」を呼び掛けておきながら、労働者委員の意見表明をとがめるような発言が問題にされない議事進行はいかがなものか。座長には、真摯(しんし)な議論を促す運営を期待したい。