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    〈韓国メーデー〉政権交代への期待を胸に/大統領選の最終盤に開催

     

     韓国の労働運動でもメーデーは、11月の労働者大会と並ぶ重要なイベントだ。5月1日は「勤労者の日」とされ、正式な休日ではないものの有給休日とする民間企業が多い。労働者大会が労働者の闘争の日という性格が強いのに対して、メーデーは労働者の祝祭という性格が強く、韓国労総、民主労総の2大ナショナルセンターがそれぞれ開催するメーデー大会に付随して、多様なイベントも開催される。

     現時点ではまだ大会の内容は発表されていないが、今年は大統領弾劾により繰り上げられた選挙の日程が5月9日に決まったことから、メーデー大会の基調は例年以上に政治的な色彩が濃いものになりそうだ。

     

    ●労働問題を選挙争点に

     

     1998年の金大中政権に始まる新自由主義的な政策は、2008年以来、保守系の李明博政権、朴槿恵政権の下で財閥をトップとする大企業への富の集中と低所得層の失業、貧困という社会の二極化を招いた。特に保守政権下では韓国の労働運動が勝ち取ってきた労働者の権利の後退が続き、朴槿恵政権下では相次ぐ労働規制緩和や露骨な労働組合つぶし、そして労働組合の無力化につながる法制度が推進されてきた。

     大統領が罷免され、リベラル系候補が優勢と伝えられている中で、労使政の交渉を重視する韓国労総も、ストライキなどの実力闘争を重視する民主労総も、メーデー大会では労働者の権利意識を高める行事とともに、各候補に圧力をかけ、有権者に対して労働問題を訴えることになるだろう。

     

    ●財閥解体も要求へ

     

     大会では賃金・雇用・時短に関する一般的な要求に加え、大統領弾劾の原因にもなった財閥を解体することや朴槿恵政権下で強行された労働法改悪の撤回、そして非正規労働、最低賃金、労働基本権、公共性などに関する要求が中心になるものとみられる。これに加え、ソウルなど大都市では独立系の労働団体などによる多彩なイベントが行われる。青年層の失業や非正規労働問題を訴える若者を中心とする労働団体、そして各種の差別に反対する女性や障害者などを中心とする労働団体などがイベントを開く予定だ。

     1週間後に大統領選挙を控えた選挙戦終盤の韓国のメーデー大会では、これまでのような政権批判のスローガンではなく、次期大統領への期待のスローガンが5月の空に響き渡ることになるだろう。(フリージャーナリスト 安田幸弘)