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    退職強要・いじめが横行/東京管理職ユニオンが告発/製薬大手のアストラゼネカで

     東京管理職ユニオンは5月11日に会見を開き、製薬大手アストラゼネカ(本社・英国)内で強まっているリストラ目的の退職強要を告発した。業務改善計画(PIP)に基づく不当な減給・降格、女性労働者へのマタハラなどが相次いでいる。組合は今後、六つの事件について裁判などを進めていくという。

     同社では医薬情報提供者(MR)と呼ばれる営業職を対象に「新キャリアレベル制度」を導入。開業医担当を「レベルが低い」と、賃金を低く設定した。

     さらに、これまで上から二番目の評価だったMRの社御比未香さんは、育休明け後「休んでいる最中の評価はできない」と下から二番目の評価に落とされた。社御比さんはマタハラに当たるとして提訴を検討中。「子どもがいるとキャリアアップできない制度はやめてほしい」と話した。

     業績の悪い社員を指導するという名目のPIP。以前から乱用が指摘されていたが、今も中高年に退職を迫る手段として横行しているという。仙台市に住んでいたMRの山梨理さん(54)は「改善が達成できなかった」と退職を勧告された。拒否すると青森県に配転され、パンフレット整理の仕事をあてがわれた。

     「一時間もあれば一日の仕事は終わってしまう。退職を断った社員の心を折るための配置転換だ」と語る。山梨さんは降格と3割の減額処分も受けており、この措置は違法だとして組合員2人とともに労働審判を申し立てている。