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    インタビュー/知る権利・表現の自由が奪われる/共謀罪法案/木村広出版労連書記長

     政府が今国会で成立を狙う共謀罪法案。出版労連の木村広書記長は「出版・言論に関わる者にとっては現実的な危険がある」と訴えている。

     

    ●リアルな危険

     

     出版労連は、春闘の臨時大会で共謀罪法案反対の決議をあげた。雑誌協会、書籍協会、日本ペンクラブもそろって反対を表明している。この業界で働く者にとって共謀罪は自分の仕事に直接影響を及ぼしてくるという危機感があるからだ。

     政府に都合の悪い事実であっても書いて発表するのが出版の仕事。共謀罪成立で今の仕事に制限がかけられるのではないかと危惧している。

     政府は「一般人は関係ない」と強弁するが、何が犯罪の合意に当たるのかについてはあいまいなまま。「犯罪の共謀をしているかどうかを確かめるには捜査をする必要がある」といって監視の手が出版・言論の場にも及ぶのではないか。

     もし雑誌の編集部に「犯罪の嫌疑がある」として警察の捜査が入れば、パソコンや書類、サーバーなどが「証拠」として押収される。実際に犯罪を行っていなくても、一定期間仕事ができない状態に追い込まれれば会社は大きな損害を被る。

     

    ●知る権利失われる恐れ

     

     出版業界にはさまざまな分野で取材活動をする記者やジャーナリストがいる。IS(イスラム国)などのテロリスト集団や、暴力団などの非合法組織を取材する者もいる。彼らの伝える情報も市民社会にとっては重要だ。しかし共謀罪が成立すれば「犯罪集団に接触し、話をしている」として、「組織的犯罪集団」の一員と疑われることも考えられる。そうなれば当然、「疑いがかかるかもしれないからこの企画はやめよう」と現場は萎縮する。言論・出版の自由が失われ、国民の知る権利も危うくなるのではないか。

     

    ●日本社会が活力なくす

     

     安倍政権は「表現の自由」をはじめ、民主主義社会にとって最も重要な基本的人権をないがしろにしている。だから、まともな議論を経ず強行な手段を平気で取れるのだろう。

     表現の自由が脅かされれば、われわれは創造的な仕事ができなくなる。ネットの発達でフェイクニュースがあふれる現在だからこそ、多様な言論が確保されなけれならず、そうしなければ日本社会全体が活力を失ってしまう。

     共謀罪の廃案を目指し、出版労連は最後までたたかう。

     仮に共謀罪が成立してしまっても、出版労連は断固反対を続けていく。秘密保護法成立のときも、法律によって人権侵害が行われないよう弁護団と協定を結び対策をねった。共謀罪についても同様の措置をとるつもりだ。共謀罪を実際に運用させないよう、しつこく危険性を訴えていく。