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    労働時評/連合、異例ずくめの総選挙/民進3分裂に大会で怒り

     異例ずくめの総選挙で連合が苦闘している。民進党は、合流した希望の党の小池百合子代表による選別排除で3分裂。連合は政党ではなく、個別に候補者を推薦するとし、支援先が5分裂の産別もある。選挙後の支持政党の見直しも注目される。

     

    ●連合28年と政党変転

     

     連合28年の政党との概略史(表)は、当初の野党再編統一から政権獲得を経て、その後敗退し、今回の支援政党の分裂・解党へと深刻な危機に陥っている。

     結成時、山岸章会長は、総評・社会党、同盟・民社党に分かれていた野党再編の起爆剤として行動。1989年の参院選で「連合の会」を設置し11人を当選させ、会派を結成した。その後も92年の日本新党など非自民8党連立の細川政権、94年の自社さ連立政権の樹立など、連合は存在感をアピールした。

     野党再編では、2代目の芦田甚之助会長時の94年に新進党、96年に民主党などが結成された。

     3代目、鷲尾悦也会長時の97年には、自民党大会に電機連合、自治労、日教組など九つの産別が出席し、世間を驚かせた。政党との関係では曲折が見られ、4代目、笹森清会長時の01年には連合サマートップセミナーで初めて共産党を含む7党幹部が参加。同年の連合大会に小泉純一郎首相が初めてあいさつし、03年の自民党大会では初めて笹森連合会長があいさつした。

     5代目、高木剛会長時の07参院選は民主党など野党が過半数を獲得。続いて6代目の古賀伸明会長時の09年に民主党政権を樹立した。しかし3年後の衆院選で敗退し、安倍自民政権に移行。14年衆院選で戦後初めて衆参院で改憲勢力が3分2を占める一強政治となった。

     7代目、神津里季生会長時の16年参院選で民進党は4野党統一候補の調整に努力し善戦した。神津会長は「民進は共産と握手するな」「戦術としてはあり得るが、戦略では野党共闘に反対だ」と表明。28年前の反共選別統一の「先祖帰り」とも言われた。

     

    ●民進3分裂に怒り

     

     今回の選挙の異常さは、希望の党の小池代表が9条改憲・安保法容認で公認候補を選別し、民進が希望、立憲民主、無所属に3分裂したことだ。

     連合大会では分裂を招いたことに批判の声が上がった。私鉄総連は、安保法、改憲で「踏み絵」を踏まされ分裂を招いたことを、前原代表が「想定内」と述べたことに「怒りの声が産別本部に寄せられている」と報告。大阪での「維新」候補の容認は、支援する立憲民主の「候補者つぶしのあらわれだ」と抗議した。自治労は「連合内の分裂を図る動きも出てくるだろう。連合は団結と統一を」と警鐘を鳴らした。

     選別を拒否した候補者の中には「9条改憲など、心は売れない」と無所属に追い込まれた人もいる。

     連合の神津会長は「一強政治に終止符を打たんとして、身を捨てる覚悟を伴った合流の決断だった。しかし希望の党の公認作業の狭間で厳しくつらい思いを重ねてきた方が少なくない。極めて遺憾だ」と表明。「予測不可能な政治の動き」とはいえ、傷は深い。

     一方、立憲民主は78人を擁立。共産、社民との野党3党共闘で小選挙区289の内249で候補者を一本化。安全保障関連法に反対する学者の会発起人の佐藤学・学習院大学教授は「歴史的な転換点の選挙で新たな地殻変動」と共闘の前進を指摘する。

     

    ●5分裂選挙の産別も

     

     支援先の分裂は、産別、地方ともに深刻だ。連合は民進出身者の候補者を個別に推薦し、公示翌日の10月11日で194人、組織内候補は電機など9産別16人を擁立している。

     産別では自治労のように立憲民主、希望の党、無所属に加え、社民党など5分裂選挙の組織もある。各地方連合会で、希望、立憲民主などに推薦候補が分裂している。

     連合として比例区については支援先を決めず、各産別に委ねているが、政党名を広める時間もなく、混乱している。組合の集票力が弱体化する中、混沌とした今回の選挙ではさらに集票力の低下が懸念されている。

     

    ●注目の支持政党見直し

     

     支持政党の関係は総選挙後に論議する方針だが、前途は多難である。

     ある産別OB幹部は、もし希望の党を支持すると、「安保法と9条改憲は、民進党や連合方針と異なり、連合は分裂しかねない」と警告する。まして小池代表は選挙後に自民党との連携も否定しておらず、連合との矛盾を深めることになろう。

     労働政策については、全国ユニオンが「連合が反対している高プロ(残業代ゼロ制度)、裁量労働制の拡大で、希望の党ははっきりしていない。慎重な判断を」と主張。政策実現へ国会デモ、大衆行動など社会的なうねりを巻き起こす取り組みを提起した。

     

    ●政策実現へ行動力を

     

     ナショナルセンターとして支援政党が定まらないことは、政策を実現する上で大きな問題だ。打開へ「組織力、政策力、発信力、行動力」が連合新体制の課題とされている。

     連合の労働政策や9条改憲・安保法反対の姿勢は、希望の党ではなく、立憲民主党や社民党、共産党など野党共闘の政党と重なる。

     政治の構造変化の中で、連合は要求実現力をいかに強め、共同するのか。多難な船出に挑む、神津里季生会長、相原康伸事務局長の新体制には行動力が求められている。(ジャーナリスト 鹿田勝一)