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    一括案は「不良品抱き合わせ」/日本労働弁護団/「働き方改革」で意見書

     日本労働弁護団(徳住堅治会長)は11月9日、政府の働き方改革関連法案について意見書をまとめた。時間外労働の上限規制、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)の新設、裁量労働制の適用職種拡大、「同一労働同一賃金」について批判的検討を加えている(表)。

     政府は、労働時間の上限規制、高プロ制、裁量労働制などの労働基準法改正、「同一労働同一賃金ガイドライン案」に法律上の根拠を与える労働契約法改正などを一括法案として提出する意向だ。意見書は、一括法案とすることには「働かせ放題になる」との批判の強い高プロ制や裁量制に反対しにくくする効果があるとし、「『不良品の抱き合わせ商法』とも言うべき一括法案を許してはならない」と批判している。

     罰則付き上限規制の新設を評価する一方、過労死労災認定基準並みの月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内の上限規制については「極めて不適切で到底賛同できない。過労死防止法違反の法案と言わざるを得ない」とした。

     裁量労働制の適用拡大は際限のない長時間労働を招くと警告。新たに対象となる「裁量的に(管理業務を進めるための手法の一つである)PDCAを回す業務」では、管理職だけでなく、係長や班長、チームリーダーにも適用されると指摘。既製品などの営業は対象業務にならないなどの文言が入ったが、通常の営業職に適用されることへの歯止めとなるかについての効果は疑問だとした。

     高プロ制に関しては「残業代ゼロ、過労死を促進させる」と警鐘を鳴らしたうえで、年104日以上かつ4週4休の休日付与義務は長時間労働の抑制にならないとしたほか、「成果型賃金制度が実現できるかのような虚偽の宣伝・報道が繰り返されていることは極めて問題である」とした。

     

    ●非正規なくす気ない

     

     「同一労働同一賃金」関連で意見書は、処遇の違いの内容や理由について使用者に説明義務を課すことを一定評価。しかし、格差の抜本的解消には不十分だとし、「労働条件格差に苦しむ非正規雇用労働者自体をなくし減少させていくという問題意識が欠如している」と厳しく批判した。

     処遇の差が合理的であるとの立証責任を使用者に負わせるべきだとした上で、「不合理」と認められた場合に、その労働条件を無効とし、合理的な労働条件の確認と履行を求めることができる法的効果を明示するよう求めている。

     意見書は、派遣労働者について、派遣先労働者との均等・均衡処遇規定を設けたことには賛意を表明。一方、過半数代表や過半数労組と労使協定を結べば、均等・均衡処遇規定が適用されないとしていることには、「重要な権利行使を労使協定で制限することは、法に重大な風穴を開けることになり許されない」と強く反対している。