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    「官製春闘、いい加減にせい」/高倉金属労協議長/企業不祥事で職場点検訴え

     金属労協(JCM)の高倉明議長(自動車総連会長)は12月6日の会見で、政府が賃上げを経済界に要請する「官製春闘」のありように苦言を呈した。政府がまずなすべきは企業が安心して賃上げできる環境整備だと指摘。相次ぐ企業不祥事にも言及した。

     高倉議長は記者の質問に答え、「5年目の『官製春闘』と報じられているが、もういい加減にせないかん。労働条件は労使が主体的に決めるもの。総理に言われたからといって動くものではない。かえって『意地でも賃上げしない』という経営者も実際にいる。どこかの国のように上意下達ではなく、労使で責任をもって決着を図る必要がある」と述べ、労使自治を強調した。

     政府が来年の賃上げ目標を3%(定期昇給相当分込み)と指定し、法人税減税などを検討している点にも触れ、「短期的施策でしかない。今政府がすべきは、先行き不透明感がある中で企業が賃上げできるような中長期的なビジョンや施策を示すこと。経営者が『人への投資をやろう』と思えるような施策を打った上で『賃上げしてください』と言うのなら分かるが、(現状は)逆ではないか」と述べた。

     

    ●チェック機能発揮を

     

     名だたる企業で相次ぐ不祥事にも質問が及んだ。同議長は「非常に大きな影響を与えているのも事実。当該の企業はうみを出し切って、なぜ起きたのかを徹底的に分析し、二度と起こらないようにしなければならない」と強調した。

     労働組合のチェック機能についても、「おかしいと思ったことを言える職場の雰囲気が必要だ。上司に直談判できればいいが、しにくければ、組合に気づいた点をフィードバックし、労使で協議する、そういう雰囲気になっているか。『組合に言っても仕方ねえよ』と思われていないか。経営施策に対するチェック機能を組合は果たすべきという観点から、職場の点検活動を行い、今後につなげたい」と語った。

     会見は、2018春闘で3千円以上を要求基準とする金属労協の闘争方針を説明したもの。高倉議長は日産労連の出身。