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    「憲法学者攻撃は戦争への道」/水島朝穂早稲田大教授/立憲フォーラムの集会で警鐘

     「戦前の、軍部批判ができなくなった国会(と同じもの)が今、国会中継で確認できる」――早稲田大学法学部の水島朝穂教授が12月6日、衆院議員会館で開かれた集会で講演。与党の質問時間を増やした結果、形骸化が進む国会審議の現状に危機感を持つよう呼びかけた。

     集会は旧民進党議員らを中心とする超党派の議員が集う立憲フォーラム(代表近藤昭一衆院議員=立憲民主党)などが主催した。

     水島教授は「予算委員会の質問は、野党第一党が一番にやるのが当たり前だったが、今回は自民党議員から。安倍政権への批判はなく、ネトウヨ的なくだらない論点でマスコミ批判などを行った」と指摘。昭和15年、共産党以外の全政党が解党して作られた大政翼賛会の下、国会は軍部批判ができなくなり、対米戦争へと突き進んだが、当時の国会と同様の状況が生まれつつあることに警鐘を鳴らした。

     戦前の代表的な憲法学説「天皇機関説」とその代表的な論者だった憲法学者の美濃部達吉(貴族院議員)が、軍部や右翼から攻撃された天皇機関説事件について水島教授は、大日本帝国憲法にも存在していた立憲主義がこの攻撃によって破壊され、軍部独走を許したと指摘。政府・自民党が集団的自衛権の憲法解釈などをめぐり憲法学者をたびたび批判していることと絡めながら、「権力が憲法を変えようというとき、邪魔になるのが憲法学者。憲法学者が狙われた後、戦争を行える体制が作られる」と強い危機感を表明した。