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    「賃上げの裾野広がる」/金属労協の中堅中小回答

    販売、一般が健闘/自動車総連

     自動車総連は4月3日朝までに511組合が決着し、うち約9割の457組合で賃金改善分を獲得した。1組合当たりの改善分は平均1336円で、昨年同期を141円上回る。焦点の中小労組の賃上げ平均は、昨年同期を若干上回る1367円。トヨタのベア額非公表の問題については、今後検証するとの姿勢を示すにとどめた。

     業種別では、完成車メーカー13組合が平均1750円(トヨタは含まず)。車体・部品メーカー組合が1112円と厳しいが、販売が1773円、一般が1564円と健闘している。

     一時金の平均は年4・86カ月で、8割以上の組合が昨年を上回る。非正規労働者の賃上げでは昨年同期の倍にあたる91組合で進展があり、有額回答を得た32組合の平均は14・1円。

    8割に大手水準が波及/電機連合

     電機連合は4月3日までに集約した312組合のうち、87%にあたる273組合が賃金改善分を獲得し、昨年同期の実績(84%)を上回っている。大手先行組合の1500円相場でベア、賃金改善を獲得した組合数もいる。

     妥結は昨年同期と比べて遅れているという。野中孝泰委員長は「5年連続の賃上げに対する慎重さが表れているのではないか」。特に重視する賃上げの波及効果では、開発・設計職で1500円の回答を得た組合は166組合で、同様の要求をした組合の77%に上る。同じく大手先行組合が1500円を獲得した16闘争時と比べ、獲得組合の割合は10ポイント程度高い。

     有期契約労働者について不合理な雇い止めがないことを確認した組合は、現時点で457組合中193組合。不合理な労働条件がないことを確認した組合が同124組合。

    歯止め1700円以上/JAM

     中堅中小の金属製造業労組でつくるJAMのベアなど賃金改善分の平均は、4月2日現在で1617円。300人未満が1660円、100人未満が1769円と健闘している。後続の組合に対し(1)賃金改善1700円以上(2)平均賃上げ(定期昇給相当分込み)6000円以上――などの歯止め基準を設定した。

     全体平均1617円は昨年同期を365円上回る。ベア復活後5年間で、2015闘争に次ぐ高さ。ベア3000円以上の回答は44組合(昨年同期25組合)で、うち300人未満が34組合(同20組合)に上る。賃金水準を意識した個別賃金要求に取り組む組合や、数年間ベアが取れていない組合が多いという。

     安河内賢弘会長は「粘り強く交渉を続けた結果だ。(政府が要請した)3%が交渉に影響したとは全く聞かない」「中小は大変な繁忙感。これだけ忙しい現状では出さざるを得ない。これまで取れなかった組合でベアが取れている」。

    65歳定年で顕著な前進/基幹労連

     鉄鋼、造船・総合重工、非鉄金属の組合でつくる基幹労連は4月3日までに174組合の回答を集約。145組合の平均は1480円。「65歳現役社会」の取り組みでは、9割が制度整備への労使協議の開始を確認している。

     賃金改善は規模別では千人以上が1658円で、300人未満が1409円。企業内最賃協定では2500円を超える引き上げが報告されるなど前進回答が多く見られることや、働き方の改善でも年休取得の促進をはじめ、積み立て休暇、両立支援などで成果が報告されている。