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    「雇用類似の働き方」に保護を/労働政策基本部会で労働側委員/規制緩和論も相次ぐ

     中長期的な労働政策の検討を目的に昨夏始まった労働政策審議会労働政策基本部会が4月20日開かれ、「時間・空間・企業に縛られない働き方」について話し合われた。労働組合出身委員は、フリーランスなど「雇用類似の働き方」に労働者保護規制の網をかけるための専門的な検討の着手を求めた。一方、規制緩和を主張する委員からは従来と同じくとっぴな主張が目立った。同部会は夏までに報告書をまとめる予定。

     労働者としての保護規制を受けられない「雇用類似の働き方」について、厚生労働省の検討会が3月、保護の必要性を検討すべきとする報告書をまとめた。長谷川裕子連合特別専門委員は「厚労省としては久しぶりに良い報告だ。雇用労働だけではない働き方に着目した点で画期的。労働法でどのように保護するか、専門家集団による検討を」と述べ、古賀伸明前連合会長も労政審の部会での検討を求めた。

     イー・ウーマン代表取締役社長の佐々木かをり委員は「(雇用類似の働き方で働く人は)企業で働いている人に比べてハッピー度が高い」と述べ、早急な規制緩和を求めた。これに対し、岩村正彦東京大学大学院教授(労働法)は「(就労や労働条件が)不安定ということが本質。今がハッピーでも問題がないということを意味しない」と、丁寧な検討を求めた。

     経済学者の大竹文雄大阪大学教授は「保護を整備するより(報酬などについての)相場をどう形成するか」と述べ、発注者の「情報独占」の是正を進めるべきと発言。弁護士の山川亜紀子委員は「自営業的な労働者が増えている。年収1億円なのに解雇もできない。どう考えても規制を緩和しなければならない」との持論を展開した。