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    使用者は安全配慮義務を負う/36協定の指針案/合法的な長時間残業のケース

     働き方改革関連法の残業上限規制に関する省令や指針を定める労働政策審議会労働条件分科会の3回目の審議が8月9日に行われた。36協定に関する指針案では、月80~100時間を下回る時間外労働で働かせても、使用者は安全配慮義務を負うことなどが明記されている。月45時間超の残業と脳・心臓疾患との関連も指摘している。

     

    ●誤解を払拭すべき

     

     この日示されたのは(1)36協定に関する指針案(2)36協定の届け出の様式案(3)年休を前倒しで付与した場合の時季指定義務の特例についての案――の三つ。

     36協定の指針案では、使用者の責務をこう記述している。

     「(残業で)労働した時間が1カ月においておおむね45時間を超えて長くなるほど業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まると評価されている」

     「6カ月間において1カ月あたりおおむね80時間を超える場合は業務と脳・心臓疾患と関連性が強いと評価されていることに留意しなければならない」

     中堅中小の金属関連労組でつくるJAMの川野英樹副書記長は「これまで(月100時間未満の)時間外労働の枠内なら過労死が生じても、労災認定に関わる民事上の責任が生じないといった誤解が懸念されていた」として、指針案の内容を評価した。

     経団連の輪島忍労働法制本部長は「過労死はあってはならないという意識に基づき今回の時間外労働の上限基準を作った。誤解というのはよく意味が分からない」と反論。連合の村上陽子総合労働局長は月100時間まで働かせてもいいという誤解がまだあると指摘し、36協定への認識が薄い経営者に対しては「意味のある内容だ」と述べた。