「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「安い労働力ではない」/介護分野での外国人労働者/受け入れを考えるシンポ

     公益財団法人介護労働安定センター主催の「介護労働シンポジウム」が11月9日、都内で開かれた。介護分野での外国人労働者受け入れを進める立場から、直面する課題について議論した。

     現在、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者や、介護施設などでの外国人技能実習生の受け入れが始まっている。技能実習制度への介護職種の追加に向けた準備委員会委員を務めている富家病院の富家隆樹理事長は、介護現場の人材不足を指摘しつつ「技能実習制度は安い労働力確保の方法ではない」とくぎを刺した。

     特別養護老人ホーム「ケアサポート板橋」の村上隆弘施設長は、フィリピン出身のEPA介護福祉士候補らを指導してきた立場から発言。受け入れに当たっては「EPA支援チーム」を作り、(1)日本での生活を支援(2)仕事面でのフォロー(3)介護福祉士の国家試験対策――の3点が求められると語った。

     技能実習制度に詳しい上林智恵子法政大学教授は、外国人労働者の受け入れ拡大について「日本文化に同化してもらうのではなく、異なる文化と共存するということ」と指摘。富家理事長も「日本人が勤めたがらない職場で、外国人が5年や10年も働けるということはない。受け入れ先が一番に考えるべきは、いい職場にすることだ」と話した。

     

    〈写真〉「外国人は安上がりの労働力ではなく、一緒に働く仲間として考えること」などと話し合った(11月9日、都内で)