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    昨年同様「3千円以上」を決定/金属労協の春闘方針/要求具体化は各産別に委ねる

     金属労協は12月5日、都内で協議委員会を開き、2019春闘で前年同様3千円以上のベースアップを求める闘争方針を決定した。「JC共闘全体で賃上げ要求を行う」という方針に、「各産別はそれぞれの状況を踏まえ、具体的な賃上げ要求を決定する」の一文を加え、柔軟な対応を認める内容となっている。

     提起した浅沼弘一事務局長は「絶対水準に移行する連合の動きもある。中小の賃上げに資する要求にするため、3千円以上という方針を元に、各産別が咀嚼(そしゃく)して読み替えていただきたい」と、具体化は各産別に委ねる姿勢を示した。

     「35歳・技能職」の銘柄について方針は、到達基準(基本賃金33万8千円以上)、目標基準(同31万円以上)、最低基準(24万8千円程度)の三つの指標を今年も提示。高倉明議長は「各組合はそれぞれの賃金実態を精査し、産業間、産業内の(自社の)位置付けを把握した上で、必要な賃金改善の取り組みを」と個別賃金要求を促した。金属労協の全組合の賃金分布が分かるデータを整備し提供する考えだと語った。

     方針は実質賃金の維持・向上のほか、(1)生産性三原則(雇用の維持・拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配)の実践(2)関連企業などバリューチェーンの付加価値の適正循環(3)同一価値労働同一賃金の実現(4)働き方の見直し――を柱に据えている。

     討論では、自動車総連が「絶対額重視でこれまで以上に取り組む」と発言。電機連合は「賃金改善に取り組む土壌は整っている」と、6年連続ベア獲得に取り組む決意を表明した。JAMは中小企業の存続が危機にひんしているとし、付加価値の適正循環の取り組み強化を求め、基幹労連は格差是正などに取り組む来春闘で大手組合による中小支援を強める、と述べた。

     

    ●変わる議長発言

     

     来春闘方針論議で注目されるのが、昨年回答を非公表としたトヨタ労使への対応だ。この問題をめぐる高倉議長のコメントが変化を見せている。

     集中回答日だった3月14日、トヨタの非公表が確定的となった午後2時の自動車総連の会見では、「共闘の面からも問題を残した」「話し合った成果を共有することが基本」と苦言を呈した。

     春闘総括についての金属労協の会見(6月21日)でも、「非常に大きな問題。労使の責任、大手企業の社会的責任があるという発信はしっかりやっていかなければならない」と強調。トヨタ労使の判断については「苦渋の選択」と一定の配慮を示した上で、「だからといって来年も同じことを繰り返すのは問題だ。上部団体として当該労使をバックアップしていく」と述べていた。

     しかし、19春闘方針を決めた12月5日の金属労協の会見では同様の質問に「ここでは答えない」とコメントを避けた。一般論として大手労組のベア回答非公表の是非を問われ、「上げ幅だけで本当に格差是正になるのか。根っこからの部分(賃金水準)がどうなっているのかにスポットを当てるべき」と述べ、賃金の絶対額に焦点を当てた公表の仕方を検討するべきとの考えを示した。9月の自動車総連大会の会見でも同様の主旨のコメントを述べている。

     連合は今秋、賃金水準重視に軸足を移す春闘方針を決定。さらにその度合いを強めるための「春闘の再構築の検討」も検討課題としている。