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    ベア1~2%、絶対額重視へ/各労働団体の春闘方針

     1月半ばを過ぎ、主要労働団体が春闘方針を順次決定している。賃金の上げ幅は一部を除きおおむね1~2%程度。要求基準を前年から引き上げる組織や、連合が強調する賃金の絶対額(水準)重視にかじを切る組織も散見される。実質賃金を確保するとともに、底上げ、格差是正の流れをさらに強められるかが課題となる。

     連合は前年同様、2%程度基準を掲げつつ、賃金の絶対額を重視する方針を打ち出した。賃金水準を意識した交渉で、企業規模間の格差是正につなげたい考えだ。一定の相場形成を担ってきたトヨタが回答を非公表とすることにより「トヨタの回答マイナスアルファ」の計算式が機能しなくなる中、いかに賃上げ相場をつくり、中小に波及させるか、今後の春闘を考えるうえでも動向が注目される。

     自動車総連は、絶対額重視にシフトするとして上げ幅の統一要求基準は示さないが、完成車メーカーの企業労連ごとに要求を決め中小労組を支援するという。UAゼンセンは昨年、流通・小売、外食などで2千~4千円のベアを獲得、旭化成など化学素材の主要組合で電機大手を上回る回答が相次いだ。経済指標が有利な今年、産別内の「顔の見える共闘」を軸に攻勢を強める。

     電機連合は6年連続の賃金改善獲得へ統一闘争を堅持する。世界経済の不安要素はあるものの、史上最高の内部留保、実質賃金の低下、好調な財務状況から賃上げの必要性を強調する。昨年は約8割に相当する246組合が大手の回答(改善分1500円)以上を獲得。一層の波及の拡大を目指す。

     JAMは賃金の絶対額を重視した交渉を行う組合の増加を目指す。発注元にこれまで引き下げられた単価の値戻しをするよう自社の経営側に求める「価値を認め合う社会」の取り組みを今年も継続する。

     基幹労連は昨年、鉄鋼が2年間で賃金改善各1500円を引き出し済み。造船重機や非鉄金属は今年も単年度で要求する。私鉄総連は過年度物価上昇が前年比プラスとなった分、要求基準を1600円引き上げる案を提起した。

     全労連は安倍政権下の6年間で低下した実質賃金を回復させるとして要求基準を5千円増額。特に、法定最賃を早期に時給千円に引き上げ、1500円を展望する課題と一体の取り組みを呼びかけているのが今年の特徴だ。

     政府が賃上げを要請し、経団連もベアを容認する「政労使春闘」(神津里季生連合会長)が今年も展開される。日本は先進国で唯一賃金が低下し、長期のデフレに見舞われた。一方で内部留保は毎年過去最高を更新し続けている。10月には消費増税も予定されている。物価は上昇基調で、人手不足も深刻だ。暮らしを守り、働き続けられる産業、職場にするために、賃金水準の引き上げと、そのための環境整備がますます重要となっている。