「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    組合つぶしを断罪/大阪府労委/日本コンベヤ争議で救済命令

     TCS(東京コンピュータサービス)グループによる株買い占めで経営権を握られ、その後組合つぶしが続いている日本コンベヤの争議で、大阪府労働委員会は4月15日、同社の不当労働行為を認定し救済を命じた(表)。命令は、同社が解約したと主張する労働協約を全て「有効」とするなど、組合つぶしの根幹を断罪している。組合は「勝利命令」と評価。経営側に対し、命令に従うよう取り組みを強める構えだ。

     命令書は、TCS創業者(故人)が取締役会長を務めた日本コンベヤが2016年、労働協約の解約を一方的に通知したことなどについて、不当労働行為と認定、労働協約は現在も全て「有効」と認定した。副委員長や書記長の査定を5段階評価の最低評価としたことも「正当な理由がない」とし、平均的な査定評価による一時金支給額との差額支払いを命じている。

     同社での採用が決まっていた社員を持ち株会社採用とし、そこからの出向として受け入れることで組合加入を妨げていた問題についても「支配介入」と判断。TCS創業者が組合を非難した発言も不当労働行為とし、再発防止の宣誓を明記した謝罪文を組合に手渡すよう命じた。

     TCSグループは買収先の組合に対し、労働協約の破棄、組合役員の一時金減額・不支給のほか、新規採用者を持ち株会社から出向させる形を取ることで組合加入を妨げ、弱体化させる手法を特徴としている。今回の命令はこうしたあり方を断罪したものといえる。

     JAM大阪の佐村達生書記長は「組合側の勝利命令だ。(処遇や便宜供与に関わる問題について組合側の同意を必要とする)事前同意約款などの労働協約は全て有効と判断された。命令に従うよう求める取り組みを強めたい」と話す。

     

    ●背景資本に迫れるか

     

     ただ、命令は背景資本であるTCSの使用者性を認めるには至らなかった。創業者の意向が同社の労務政策に大きな影響を与えているとしつつ「雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的に支配、決定できる地位にあるとはいえない」としている。

     背景資本の使用者性を認めさせることは容易ではない。佐村書記長は「府労委命令はTCSの使用者性を否定してはいない。疎明が不十分だと述べている。使用者性の追及は困難だが、この点は今後につながる」と話している。