「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    インタビュー/〈教員の働き方〉下/「教職」とどう向き合うか/連合総研 藤川伸治主任研究員

     ――教員の長時間労働や働き方がこれだけ大きな社会問題になったきっかけは何だと思いますか?

     連合総研は2016年12月、民間労働者や他業種と教員を比較した初めての報告書「とりもどせ!教職員の『生活時間』」(日教組委託研究)を発表しました。医師や運送業など長時間労働の職種と比較したところ、教員の方が長いという結果が出たのです。新聞で報じられると、国会でも取り上げられました。連合のシンクタンク、連合総研が労働問題として調査したことで、労働界に大きな影響があったと思います。

     仕事のやりがい、働きがいがあるからといって、長時間働くのではなく、仕事から離れる生活時間を意識的に作り、体調管理や自己研さんをすることも充実した教職生活を送るために必要です。誰にも等しく与えられた時間をどのように使うか。人間らしい生活を送るための基本として、時間に主権者意識を持つことが大切だと思います。

     ――2023年の中学校教員とその家族をモデルに、働き方改革以後の様子を描いた「めっしほうこう(滅私奉公)」(明石書店)という小説を執筆されました。

     教員の何割が過労死ラインだと報道されても、単なる数字です。数字の向こうにいる生身の人間一人一人が、どんな苦しみや悩みを抱えて生きているのかを語らなければ、教員の長時間労働問題について多くの市民に共感してもらえないと思い、小説にしました。

     主人公の教員は45歳です。仕事のできる中堅になれば、過重性も生じます。心の病で倒れるのも40代が一番多い。教員だった私自身、家族と過ごす時間を十分に持たなかった反省もあります。おそらく給特法を廃止しただけでは、教員の働き方は変わらないでしょう。いわゆる働き盛りの世代が自分の人生と向き合い、教職という労働を考えることが求められています。

     ――勤務時間管理や労災、欠員補充、教育委員会との交渉など、校長の役割も描かれています。

     教員の働き方を管理する校長へのプレッシャーは大きなものがあります。このままでは、上限に合わせた勤務記録の改ざんや持ち帰り残業が生じるのではないでしょうか。

     同時に、働き方改革は校長次第という面もあります。教育委員会の指示待ちの姿勢では進みません。業務削減など、校長の判断でできることもある。これが小説のもう一つのメッセージですね。