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    労働時評/労戦再編30年の検証/労働3団体の一口労働運動史

     労働戦線再編から30年。連合、全労連、全労協はどう闘ってきたか。一口労働運動史で検証する。

     

    ●連合、苦闘の30年

     

     「平和 幸せ 道ひらく」を掲げて、連合は1989年11月21日に結成された。しかし、30年間の道のりは苦闘の歴史で、「雇用労働者にとって幸せな時代でなく、組合は本来の役割を果たしていたか」(連合総研DIO19年2月号・藤村博之法政大学教授)と評価は厳しい。

     春闘も「過少ベア」の結果、物価上昇分以下の実質賃金マイナスが30年間で14回もあり、深刻な賃金デフレに陥っている。労戦再編前は80年に1回だけ実質マイナスだった。春闘の様変りであり、労使の分配のゆがみも拡大している。

     雇用構造も大きく変化した。旧日経連(現経団連)が「新時代の『日本的経営』」を提言した95年から、1001万人(20・9%)だったパートなど非正規労働者は、18年には2120万人(37・9%)に増加。当時、連合はこの提言を軽視し、非正規より正規の運動を重視した。

     98年の裁量労働制創設や04年の製造業務への派遣労働解禁など、労働法制の改悪も目立つ。08年末の「年越し派遣村」や、理不尽な「ブラック企業」も社会に衝撃を与えた。

     戦後最悪の労働時間規制破壊とされる高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)も18年に法制化されたが、連合は残業上限規制などとの関係から反対運動を自制した。消費税導入30年と社会保障改悪との関係も争点である。

     経済闘争や政策・政治課題についてストを含む大衆行動が少なく、職場活動の停滞も深刻化している。連合のスト件数は厚労省調査で18年度は8件にすぎず、74年の総評交運ゼネストを含む9581件より激減し、国際的にも異例とされている。政治課題の安保関連法(戦争法)に対しても15年に1万4000人が参加した国会包囲行動にとどまり、旧総評系の平和フォーラムの運動に参加している産別もある。

     政党との関係でも連合は野党再編の「起爆剤」として深く関わり、曲折を経ながら09年に民主党政権を樹立した。その後、敗退し、現在は立憲民主、国民民主などの共同会派となり、連合は支援政党を明示し得てない状況だ。

     

    ●連合ビジョン実践へ

     

     運動再構築へ、連合は春闘では95年にパターンセッターの見直しを論議し、04年から中小など諸共闘を結成。16年以降「大手追随・依存構造の転換」を掲げ、19年からは「上げ幅より賃金水準重視」を目指しているが課題は多い。組織勢力は結成時の800万人が650万人まで減少し、現在は700万人である。

     連合が関わった主な労働立法では、07年の労働契約法や、18年の「同一労働同一賃金」、19年のパワハラ防止法など多様だが、内容の不十分さも指摘される。

     今年10月の大会では「連合ビジョン」を採択。集団的労使関係拡大や人工知能(AI)など、雇用形態の多様化を踏まえ連合構成員外の「ネットワーク会員」(仮称)なども構想する。第8代会長に再任された神津里季生会長は「憲法28条の労働三権の行使や違法解雇の金銭解決制反対の大運動」などを強調した。

     連合評価委員会が03年、連合に「働く者の利益を代表し、国民と連帯できる組織への変身」を求めた提言は、大会論議でも強調された。この2年間に47産別・47地方連合との「総対話」が行われ、「もっと大衆行動の拡大を」などの要望が出されている。連合に問われているのは政労使協議に加え、要求実現への行動力といえよう。

     

    ●全労連30年の軌跡

     

     全労連は「日本労働運動の戦闘的な伝統の継承発展」を掲げ89年11月21日、400万人で結成された。

     力量不足や困難さを克服しつつ、「全労連なかりせば」と、労働分野や市民組織から期待されている。主な運動効果では(1)賃金と医療、年金などで国民春闘スト(2)大企業の内部留保還元の世論を形成(3)初の自民党議連の参加で全国一律制実現を目指す最賃集会(4)雇用争議勝利と権利擁護(5)9条改憲阻止へ「総がかり行動実行委」「市民連合」など統一戦線的な運動を展開――など。約404万人と、過去最高の改憲反対署名集約も全労連効果だ。

     課題は組織の強化拡大。今の組合員数は102万人で、毎年約10万人を拡大しているが、純増にはあと年1万人の上積みが必要だという。春闘ではベア獲得3割など産別のばらついた運動の克服や、中央・地方の労働界の共同行動追求、運動の可視化も必要だ。

     全労連は30年の到達点として「市民と野党の共闘を支え、統一戦線的な運動の一翼を担って奮闘」(18年大会方針)と指摘し、小田川義和議長は「共闘・連立の時代へ前進を」と語る。

     

    ●全労協が「30年史」

     

     全労協は、連合に行かない総評系の組合を中心に協議体として89年12月9日、約50万人で結成された。

     「全労協30年の歩み」を9月に刊行し、「けんり春闘」「争議勝利」「国際連帯」など11課題で運動を総括。「安倍政権打倒」を労働界でいち早く掲げたのも全労協である。メーデーや労働法制、JAL争議で全労連と連携し、改憲阻止、脱原発などで総がかり行動実行委と共同している。

     全労協の渡邉洋議長は10月に行われた30周年集会で「戦後最悪政権の歴史逆行に対し、組合の行動力が問われる。全労協が先陣を切ろう」と呼びかけた。

     労戦再編30年。生活と平和を守り、労働運動の社会的影響力拡大へ、組織の枠を超えた労組の共同行動が求められている。(ジャーナリスト 鹿田勝一)