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    Q&A/求められる解雇争議解決/日本航空の破綻から10年

     日本航空(JAL)が2010年1月19日に経営破綻して10年。その後、人員削減などを経て再建を果たしたものの、同年の年末に165人の乗員・客室乗務員を解雇した争議は今も続いている。不当解雇の撤回を求めてきた争議団と国民支援共闘会議は1月15日に会見を開き、希望者全員の職場復帰と解決金の支払い、労使関係の正常化、安全運行の確保を求め、同社に争議の早期解決を迫った。争議の現状などを、Q&Aでまとめた。

     

    ●狙いは労組の弱体化

     

     Q 解雇をめぐる裁判は終わったんじゃないの?

     A 確かに裁判闘争は終結している。大きく分けて、整理解雇の是非を問う裁判(乗員と客室乗務員の二つ)と、経営再建の過程で起きた管財人の行為を不当労働行為だとして追及する裁判(行政訴訟)があった。整理解雇については、15年2月の最高裁判決で「有効(原告敗訴)」とされた。もう一方の不当労働行為事件については翌16年6月、整理解雇手続きの過程で「管財人が行った行為は憲法違反」とする東京高裁判決が出され、同9月に最高裁で確定した。

     Q 裁判では争議が解決しなかったということ?

     A そうだ。整理解雇が有効とされても、その手続きに違法な不当労働行為があったとすれば、解雇そのものの正当性に疑問符が付く。乗員争議団の山口宏弥団長は「解雇の狙いが労組の弱体化、物言う労組の排除が目的だったことが明確になった」と指摘している。

     Q 管財人による不当労働行為って何?

     A 原告らが所属していた労働組合が、解雇問題に関する交渉を求めてストライキ権投票を行っていたところ、管財人が「スト権を確立したら(再建を担当していた)企業再生支援機構が3500億円を出資しなくなる」と介入し、スト権投票を妨害した。実際、乗員組合はスト権投票の中止に追い込まれた。この事件に対し、東京高裁判決は「会社が破綻し、会社更生法下での再建中という非常事態であっても、労働組合の主体性、自主性、独立性を阻害することは不当労働行為である」とした。

     

    ●東京五輪調達コード違反

     

     Q 争議は現在どうなっているの?

     A 会社も「争議が解決していない」ことを認めている。解決を図る意向は示してきたが、進展していないんだ。18年には解決交渉の場として「特別協議」が設けられ、1年半にわたって話し合いが行われた。でも会社は職場復帰について(1)応募の機会を提供する(2)その採否は会社が判断する――とし、いまだに一人も応募者が採用されていない。加えて、解決金は支払わないと言っている。この枠組みに固執する限り、いくら話し合っても解決は難しい。

     Q では、解決を図るには何が必要?

     A 国際労働機関(ILO)から4度も解決に向けた勧告が出されている。元原告の要求に「十分な重きを置き」「意義ある対話を行う」よう求める内容。先延ばしではなく、解決の決断が迫られている。日本航空は夏の東京五輪・パラリンピックのオフィシャルパートナーであり、東京2020組織委員会が定めた人権・環境保護などの調達コードを順守すべき立場にある。働く者の権利をないがしろにする姿勢はもう許されないだろう。

     

    〈写真〉記者会見に臨む争議団と支援共闘のメンバー(1月15日、都内)