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    企業買収を機に組合つぶし/建設関連の岐阜工業/組合は県労委に救済申し立て

     岐阜県内で企業買収を発端とした労働争議が起きている。会社側が労働協約の期限切れ間際に、団結権を保障するユニオンショップ制度の廃止をはじめ、組合がとても認められない内容の改定案を提示。期限切れを理由に協約の失効を主張している。こうしたやり方は不当な支配介入だとして、同社の組合が4月、同県労働委員会に救済を申し立てた。

     

    ●期限直前に全面改定案

     

     労働争議が起きているのは岐阜工業(瑞浪市)。トンネル建設用型枠製造では国内最大手。同社製品は青函トンネルの建設にも使われたという。業績は好調だったが、創業者一族の前社長が株式を売却し、2016年末に建機レンタル大手、アクティオグループの子会社となった。

     申立書などによると、身売りから1年後の17年12月22日、会社側は労働組合(JAM加盟、約80人)に対し、協約改定の意向を表明するとともに、期限(翌年1月25日)での終了を通告。期限8日前の1月17日にようやく改定案を提示した。

     その内容は、ユ・シ制度の廃止、「協約締結当事者」からの上部団体の削除、就業規則改定に際しての組合との事前協議条項の削除、組合専従を解雇の対象外とする規定の削除、団体交渉応諾義務規定の削除、午後10時での交渉打ち切り――など組合活動を大幅に制約する内容だった。

     しかも、改定案提示から期限まで、会社側は組合の事務折衝要請にさえ応じなかったという。JAM東海の担当者は「事前協議もせず期間満了を理由に失効・終了を主張するのは(不当労働行為の)確信犯だ。実際、会社側役員の一人は団交の席上で『怒られることを覚悟で提案した』とも述べていた」と話す。

     協約をめぐる協議は続いていたが、会社側は19年8月、脱退を表明した組合員2人のチェックオフ(組合費の代理徴収)を停止。ユ・シ制度を崩した。さらに9月には、「協約は失効した」とのメールを全社員に通知した。

     組合は今年4月、岐阜県労働委員会に救済を申し立てた。一方的に失効を主張するのは組合への支配介入だと主張。協約が今も有効であると扱うことや、誠実団交、謝罪と誓約書の掲示とメールによる通知を求めている。

     

    ●地域ぐるみの支援を

     

     会社側は次のように述べる。「グループ内にユ・シ協定を導入している企業は当社以外にない。当社の労使関係の制度だけが『異質な存在』で、人材の交流を進めるうえで、グループ企業間での労使関係の制度を等質化する必要がある」。

     グループ内での組合の存在を問題視しているとも読める。既に、既存の協力会社やグループ内派遣会社を通じて労務供給されており、新たな組合員の加入はない状態だという。

     前述のJAM東海の担当者は「過去最高の売り上げでもベアもない。前社長の時代は業績がいい時はそれなりに出していた。身売り後は一時金が4カ月出ればいい方で、組合員の不満は増す一方だ」。今のところ労働条件の切り下げ提案はないが、会社提案の通りに協約改定がされれば一気に改悪が進むだろうと話す。

     組合は組合旗を掲揚する争議行為を続けている。誠実交渉を求める行動だが、会社側は撤去を求めている。新型コロナウイルスの影響を見極めつつ、岐阜県下のJAM加盟組合が一堂に会して岐阜工業労組を激励し、同社に解決を求める集会を検討している。

     連合岐阜の高田勝之会長は「極めて不当で、ありえない労働組合つぶしだ。他の中小企業に影響が及ばないためにも厳しく糾弾されなければならない。事態を広く知らせ、支援していきたい」と述べている。