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    約210万円の支払い命じる/公立病院に対するパワハラ訴訟/加害者と管理者の責任を指摘

     「生きてる価値なんかない」「馬鹿じゃねーの」と上司から執拗(しつよう)な暴言を受け適応障害を発症したとして、公立福生病院(東京都福生市)の男性職員(60)が同病院に損害賠償を求めた裁判の判決が7月1日、東京地裁立川支部であった。加害者とその上司の責任を認め、約210万円の支払いを命じた。

     代理人によると、賠償額は同種の訴訟としては比較的高額で、支援した東京管理職ユニオンも「勝利判決」と述べている。

     男性は同病院の医事課長だった2016年当時、事務次長から毎日のように、多くの職員の前で人格を否定する暴言を受け、翌年適応障害で休職を余儀なくされた。男性は同ユニオンに加入、就労環境の改善を求めたが、病院側は事務次長をかばい続けたという。

     判決は、録音された事務次長の発言記録を検証し、「原告の人格を否定する言動」「業務の適正な範囲を超える行為」などとして賠償を認定した。

     加害者の上司である事務長についても、加害行為を認識しながら、男性の負担軽減のためにしかるべき措置をとらず、復職の際にも加害者の行動を制限しなかったことは安全配慮義務違反と断じた。

     判決翌日の会見で男性は「病院側には謝罪してほしい。パワハラ被害は私だけではない。これまで多くの人たちが泣き寝入りしてきた。今後起きないようにしてほしい」と語った。ユニオンは今後、自治体当局の見解を問う構えだ。

     

    〈写真〉原告の男性は「速く改善して患者さんが安心して受診できる病院になってほしい」と語った(7月2日、都内)