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    一人親方含め全員を救済/建設アスベスト神奈川2陣訴訟/「解体・改修」での企業責任も認定

     建設現場でアスベストを吸い込み、肺がんや中皮腫などになったとして、建設従事者や遺族が国と建材メーカーを相手に謝罪と賠償を求めた裁判(神奈川2陣、原告64人)で、東京高裁は8月28日、国と建材メーカーの責任を認める判決を言い渡した。全国各地で争う集団訴訟(建設アスベスト訴訟)では「国に13連勝」となった。

     一審の横浜地裁判決(2017年10月)は、一人親方は「労働者」に該当しないとして救済対象から除外していたが、今回の判決は「建設業における重層下請け構造ゆえに建築現場で労働者と共に同等の立場で作業に従事することが常態である」と指摘。労働安全衛生法22条(健康障害防止措置)と57条(危険物表示)の趣旨を踏まえ、一人親方の救済を認めた。1陣、2陣ともに神奈川訴訟では初めて。

     

    ●全国初の判断

     

     判決は、建材メーカーに対して「建物の改修・解体工事に従事する建築作業従事者との関係でも(アスベストが危険だという)警告義務を負っていた」と認定した。首都圏建設アスベスト訴訟統一本部の声明によると、解体・改修作業で企業責任を認めたのは全国初だという。

     神奈川建設アスベスト訴訟弁護団の西村隆雄団長は「アスベスト建材を含む建物の解体や改修は現在進行形でこれからがピークだ。建設現場で働く従事者に限らず、周辺住民も含めた被害が懸念される。この認定は大きい」と話した。

     

    ●10月に最高裁弁論

     

     神奈川2陣原告の望月道子団長(ハウスクリーニング業)は「横浜地裁に提訴してから6年3カ月。一人親方も含めた全員の救済が認められて安堵(あんど)した。判決を待たずに亡くなった仲間の遺志をつないで一日一日、命を削ってこの裁判に臨んでいる」と早期解決を訴えた。

     10月22日には最高裁で神奈川1陣訴訟に対する上告審弁論が開かれ、年度内にも統一的な見解が示される見通し。原告団や支援者は、多くの原告が亡くなっている現実を踏まえた早急な全面解決と、裁判に訴えなくても全ての被害者が救済される、国と建材メーカーなどの出資による被害者補償基金制度の創設を求めている。

     

    〈写真〉「一人親方も勝利」との報告に原告や支援者は歓声を上げて喜び合った(8月28日、東京高裁前)