「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    社会的影響力の拡大目指す/連合リビングウェイジ/外部有識者招き見直し検討

     連合は、労働者が暮らしていく上で最低限必要な時給を試算した「連合リビングウェイジ」の検証作業を開始する。半年間かけて試算方法を検証し、必要に応じて見直す。このほどプロジェクトチーム(PT)を設置。外部有識者の知見を踏まえ、試算の信頼性と社会的プレゼンス(存在感)を高めたい考えだ。

     同リビングウェイジは、社会的な体裁を保ち、健康な生活を送るために最低限必要な時給の理論値。地域別最低賃金引き上げの主張の根拠としてきた。埼玉の1020円を基準に、東京の1120円から宮崎などの900円まで都道府県別に設定する。おおむね5年ごとに金額改定してきた。

     この試算方法について、妥当性を検証し、必要であれば見直しを検討するPTの設置を決めた。一橋大学経済研究所の阿部修人教授(マクロ経済学)を招き、外部の専門的知見を得る。10月から作業を始め、来年5月以降の調査を経て、9月に改定額を公表する。

     冨田珠代総合労働局長は「最大のポイントは試算の信頼性と社会的プレゼンスを高めること。外部有識者に加わってもらうことにより、試算の妥当性をより強く世の中に打ち出せれば」と狙いを語る。現行の試算方法については「信頼性を持たせるため抑制的に算出しているが、有識者からの指摘や、議論の行方次第では見直すことになる」。

     見直しは、前回改定(2017年)時の申し送りを踏まえ、昨年秋に確認した。新型コロナ感染拡大の影響で、方針策定がずれ込んでいた。

     現行の試算方法は、モデル地域のさいたま市で現地調査を行い、最低限必要な生計費を積算。時給換算した額を埼玉県のリビングウェイジとし、物価指数に応じて各都道府県の時給を割り出している。