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    〈自治労が会計年度任用職員調査〉下/「昇給あり」が6割以上/退職手当、所定時間で明暗

     自治労は9月7日に発表した「会計年度任用職員の賃金・労働条件制度調査」で、職種ごとに賃金や手当の制度について自治体に聞いている。「昇給あり」はいずれの職種でも6割以上。退職手当はフルタイムと短時間勤務で明暗が分かれた。任用期間の上限も約7割が「ある」と答えている。

     「昇給あり」の割合は、フルタイムでは保育士が87・9%で最も多く、学校給食調理員83%、一般事務76・8%と続く。短時間勤務でも保育士、調理員、図書館職員、看護師、一般事務で7割前後、ケースワーカーは64%となっている。ただ、常勤職員と同じように4号俸昇給する割合は、フルタイムの保育士と一般事務で4割前後だが、そのほかは2割台にとどまる(グラフ)。

     初任時の時給は、短時間勤務で看護師が平均1307円、ケースワーカーが1200円、保育士が1074円と千円を超えた。一方、図書館職員(990円)、学校給食調理員(969円)、一般事務(929円)は相対的に低く、これらの職種では900円未満も2~4割超あり、最低賃金水準を思わせる。

     最高到達時給・月給も調べた。時給では短時間勤務でいずれの職種も千円を超えた。最も高いのが看護師の1442円で、一般事務の1077円が最も低い。鬼木誠書記長は「常勤職員との均等・権衡はまだまだ不十分。その認識で自治体当局に改善を求めていく」と話す。

     

    ●短時間かフルかで明暗

     

     任用回数の上限の有無や年数についても聞いている。フルタイム、短時間勤務ともに、おおむね7割以上が「ある」と答えた。3年で頭打ちとなるケースがおしなべて2割台半ばと最も多く、「5年」との回答も約1~2割近くある。

     会計年度任用職員は労働契約法が適用されず、民間のような無期契約への転換ルールはない。鬼木書記長は「働き続けられる制度にはまだなっていない」と指摘する。

     期末手当(一時金)はいずれの職種でも「ある」が9割以上を占める。一方、退職手当についてはフルタイムで「ある」が約8~9割に上るが、短時間勤務はいずれも1割に満たない。同制度は短時間勤務の職員の場合、支払い義務を定めていない。本来はフルタイムで任用すべきところ、脱法的に短時間にすることにより、これらの義務を逃れようとしている実情も指摘される。

     非正規職員の組合員は全国で2万7千人。今後組織化と処遇、制度改善を進めていくとしている。