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    労働者代表制整備へ検討加速/連合/夏ごろに最終案確認へ

     連合が労働者代表法制の整備に向けた検討を加速させている。2006年に策定した法案要綱骨子案を微修正した案を2月の中央執行委員会で確認した。過半数労組がない職場で、労働者の意見を集約し労使協定や意見聴取に対応する「労働者代表委員会」の設置を義務付ける内容。夏ごろに最終案を確認する予定だ。

     労組組織率が近年2割を割り込む中、労組がなくても、民主的に選ばれた「労働者代表」が職場の意見をまとめ、処遇について話し合う仕組みを求める声が出ている。

     これに似た制度に現行の「過半数代表」がある。36協定の締結や、就業規則変更の際に意見を表明する役割がある。ただ、選出方法や活動保障などの規定はなく、形骸化が指摘される。

     連合は06年に労働者代表法案要綱骨子案を策定した。非正規労働者を含め、過半数を組織する労働組合がない場合、労働者代表委員会や労働者代表の設置を義務付ける内容。委員は2年ごとに直接無記名投票で選出し、労働法が定める協定締結や意見聴取が必要な課題について、労働者の意向を聞き、まとめる。

     就労義務の免除や事務所貸与などの権利も規定。運営や研修に伴う費用は使用者負担とする。過半数労組ができた時点での解散も定め、労組の活動を妨げないよう配慮している。

     当時「労組が不要になる」などの慎重論もあり、その後も労働者代表法制の整備を目標に掲げたが、機運は盛り上がらなかった。

     神津里季生会長は「制度がないと、(残業上限規制など)いろんな労働法規ができても有名無実になってしまう。『労組もどきができる』との懸念もあったが、もうそんなことは言っていられない。働く人を代弁する、裏付けとなる制度が必要だ」と話している。

     

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    コメント: 1
    • #1

      庵原和義 (土曜日, 17 9月 2022 06:31)

      岸田首相が所得と配分の増大を唱える中、配分については企業段階における労使の合意を重視しています。しかしながら、日本の企業の80%以上、つまり労働組合の無い企業の大部分に、その議論を行う肝心の労使協議制がありません。36協定に抵触する諸問題はもちろんですが、労働者の意見を企業運営に取り入れる必要が各所に高まっていると言えます。2006年に策定された労働者代表性法案が、持ち腐れにされていたのはもったいない限りです。「労組もどき」は労働組合の基盤を広げます。連合の力強い前進に心から期待します。