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    悪質求人広告野放し/求人サイト大手/実効ある規制、求められる

     テレビなどのCMで最近盛んに宣伝される「求人サイト」で、悪質な求人広告が野放しにされていると、労組が指摘している。「未経験者からでも月給30万円スタート!」との好条件で求職者を集め、実体のない講習会費用数十万円を請求しているという内容だ。国は次期通常国会で、求人サイトを規制する法改正を行う方向だが、実効ある規制となるかは見通せない。首都圏青年ユニオンと東京地評、当事者の男性が12月20日、都内で会見を行った。

     問題の企業は、都内のレンタルオフィスに事務所を構える「フロンティア」。男性は5月ごろに求人サイト「インディード」で同社の求人広告を見て応募した。未経験でも正社員のITエンジニアの仕事に就け、月給は30万~60万円という「好待遇」だった。

     面接では簡単な意思確認の後、プログラミングスクール代に120万円が必要と言われ、「そんなに払えない」と言うと、「社員割引」だとして48万円に下げられた。

     48万円を送金後、内定通知書が届き、上京。だが、スクールの内容は「紙切れ一枚、教材も何も提供を受けていない」という実情で、「ほぼ独学だった」。

     会社からはスキルシートに「5年ほどの経験」と書くよう言われた。同時期に応募した社員同士で、同僚のスキルシートを元に電話で同僚の売り込みをかけるという、無償の「研修」労働もさせられた。

     大手電機メーカーの数次下請けの企業に派遣されたが、経験者としての仕事を求められ、毎日深夜までの残業を余儀なくされたと話す。

     男性をはじめ8人が首都圏青年ユニオンに加入。スクール代金の返金をはじめ、最低賃金、労働基準法、職業安定法違反について刑事告訴も検討している。同社は労組の団体交渉に応じていない。

     コロナ禍で雇用情勢が悪化する中、同ユニオンは被害が広がっているのではないか、とみている。

     

    ●中途半端な規制に

     

     求人サイトへの規制はない。ほぼ野放しの状態だ。厚労省の労働政策審議会は12月、雇用仲介事業への一定の規制を建議した。同省は来年通常国会での法改正を行うとされる。

     求人サイトなど募集情報提供事業者について、届け出制とし、苦情処理の体制整備、個人情報の保護などの規制を設ける方向。

     ルールを明確にする一方で、基本的な考え方として「有益なイノベーションを阻害することのないように留意する」とあえて明記するなど、実効ある対策となるかは見通せない。

     東京地評に相談を寄せる相談者の多くが、求人サイトで仕事を得た人だという。柴田和啓副議長は「実態を踏まえた法規制を」と述べている。