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    「老後に2000万円不足」の衝撃

    どうなる!日本の年金


     金融庁の金融審議会が先般、「老後生活には年金とは別に2千万円必要」と発表し、あらためて年金の低さが社会の焦点になりました。この問題をどう考えるか、二つの高齢者団体の代表に聞きました。

     そこで浮かび上がった現実とは? 年金問題は決して高齢者だけの問題ではありません。

     

    「自己責任で」は間違いだ/日本退職者連合 人見一夫会長

    〈写真〉人見一夫・日本退職者連合会長

     「老後に2千万円必要」という金融審議会の報告書の内容は、その通りでしょう。私は東京で公務員として働いてきましたが、現在の年金額は月20万円に届きません。報告書は老後生活に夫婦で月25万円は必要と言いますから、5万円以上の不足です。これから退職する人はもっと厳しくなるし、国民年金の人たちはとても暮らせる金額ではありません。

     年収200万円を切っている非正規労働者が2千万円も貯蓄するのは無理でしょう。自己責任でなんとかすべきという考え方は間違っています。

     厚生年金も以前と違って介護保険料などが天引きされ、目減りする一方です。

     一定期間働いて保険料を払えば、年金だけで暮らせる社会が理想です。私たちは、年金財源を確保するため、正規雇用を増やして、賃金を上げていくことが不可欠だと考えています。

     財源との関係で言えば、消費税の税率をどうするかですが、微妙な問題です。欧州のように20%台の税率にするのも選択肢の一つですが、そのためには、社会保障が拡充されるという信頼感が不可欠です。要は税の使われ方の問題ですが、安倍政権下で国民が「取られっ放し」と感じている状況では、消費税増税を納得するのはなかなか難しいかもしれません。

     


    年金の議論をもっと大きく/日本年金者組合 金子民夫委員長

    〈写真〉金子民夫・日本年金者組合委員長

     老後生活に2千万円不足というのは、多くの高齢者の実感でしょう。基礎年金だけの人や、厚生年金でも低額の人が大勢います。

     高齢でもパートで働いて不足分を補ったり、貯金を取り崩したりして何とか生活しているのが現状。多少蓄えがあっても、病気になってなくなったという話もよく聞きます。

     年金はマクロ物価スライドで物価上昇以下に抑制され、介護保険料などの天引きで目減りしていきます。私は、2004年の年金大改悪以降、月3万円ほど手取り額が減少しました。

     参院選直前には年金問題が論争になったものの、政府・自民党はたくみに争点外しに努め、選挙に影響するのを避け続けました。

     しかし、年金問題は大きな議論にならざるを得ません。今後を考えれば、働く人の約4割が非正規雇用であり、仕事を掛け持ちしないと暮らせないという状態は異常です。年金財源の観点からも正規雇用を増やす必要があります。

     12年からの年金削減(2・5%)を違憲と訴える年金裁判を全国で闘っています。併せて基礎年金で月額8万円の最低保障年金制度創設を求めています。現在、第3次提言を議論中で、18兆円の新規財源確保のため、国債償還の計画変更や大企業の負担増などが必要と考えています。