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    新入社員のメンタルヘルス

    周囲の気付きや配慮が大切

    産業医・松浦健伸医師(精神科)に聞く


     新入社員に「ふさぎ込んでいる」「元気がない」など、変わった様子はありませんか? 入社して1カ月余り、新人にとっては緊張や不安が募り、メンタルヘルスのバランスを崩しやすい時期です。産業医の松浦健伸医師は「精神的な不調は自分で気付きにくいもの。周りの配慮が大切」と指摘します。


    ストレスを抱える新入社員

     新入社員は、産業の専門性に関わるストレスや、労働者としてのストレス、家族から独立して生活するストレス――を抱えていると松浦医師はいいます。コロナ禍の現在、感染予防のためのリモートワークや、黙食(会話をせずに食事をとる)など、周りとのコミュニケーションが制限され、新たなストレスも加わっていると語ります。

     産業医として、医療機関の新入社員面接に関わる中で、松浦医師は「繰り返される新型コロナ流行で実習や研修が制限され、入職する前から強いストレスを抱えている人が多いようだ」と指摘。このところ、過度の緊張や不安を抱える人が増える傾向が見られると言います。

     

    先輩・同僚の気付き大切

     元気よく意欲的に働いていた人が、急にメンタルヘルスのバランスを崩し休職したり、退職したりすることがあります。特に新入社員は「新しい職場で頑張らなければ」と気負いがち。結果として、精神的な不調に気がつかず、悪化させてしまうことになります。

     松浦医師は、こうした事態を防ぐには職場でのメンタルヘルス学習や相談窓口の設置が有効だと指摘します。

     さらに「先輩や同僚の配慮が大切。新入社員の仕事の進み具合や態度を見て、不調などの変化があれば『調子はどう?』『相談に行ってみたら?』と声をかけ、専門家とつながるきっかけをつくって欲しい。新入社員は経験不足による不安を抱えやすいので、『傷つけないコミュニケーション』が欠かせない」とアドバイスします。

     

    自分でケアすることも必要

     新入社員自身によるセルフケアも大切です。

     セルフケアとは、労働者自身が自分のストレスを理解し対処すること。ポイントは仕事から離れて「自分をいたわる」ことです。

     緊張をほぐすヨガやストレッチ、横になって体を休めることも大事です。1人でゆっくり過ごしたり、友達と会って交流したりするなど、コロナ感染の対策をとりながら、自分に合う発散方法を見つけることが精神的な不調を防ぎます。

     過度のストレスに気付くためには、メンタルヘルスに関する情報に触れる環境も必要。松浦医師は厚生労働省が発信する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」を薦めます。ツイッターのアカウントもあり、定期的にツイートしています。

     松浦医師は「新しい職場では誰もが不安に感じるもの。焦らずに『できた』ことを喜び、自分を褒め、いたわることを心掛けて」と呼び掛けています。