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    特信版最新記事

    〈写真〉長く世界中で出版され、人々に警告を与えてきた「1984年」

    G・オーウェル「1984年」が予言するのは

    安倍政治の近未来か?

     「1984年」という小説をご存知でしょうか。70年前の1949年に出版された〝未来小説〟です。著者は英国のジャーナリストで作家のジョージ・オーウェル。トランプ大統領が誕生した後、米国で再びベストセラーになり、日本でも話題を呼びました。

     ヒトラーのナチスドイツや恐怖政治下の旧ソ連など全体主義国家がモデル。恐いのは、うそと公文書・記録の改ざんなど、「モリ・カケ疑惑」や統計不正が相次ぐ安倍政権の今に重なって見えることです。


    統計は絵空事!?/権力者に都合悪い事実を書き換え

     主人公のウィンストン・スミスは「真理省」の役人です。仕事は、記録を改ざんすること。権力者に都合の悪い事実を書き換え、新聞・雑誌についても廃棄し印刷し直しています。

     政府の四半期靴製造計画は1億4500万足でしたが、作れたのは6200万足でした。すると、ウィンストンは実際の製造数ではなく、計画の方を「5700万足だった」と書き換えました。超過達成したことになるからです。

     小説では「統計はファンタジー(絵空事)だ」と説明されます。こうしてうその達成率が記録されていきます。超過達成したはずなのに靴不足が生じます。それは問題ではなく、あいまいなまま放置されます。

     

    過去は変えられる!?/頭脳を改造して物事を不確実に

     私たちが事実かどうかを確かめる場合、記録と思考力がよりどころになります。政府がこの二つを自由にコントロールできれば、「事実」そのものを自由に改変することが可能。過去は変えられるのです。

     なかったことにしたいことが多い政治家には魅力的でしょう。

     思考力を支配する手法として、小説では「ダブルシンク(二重思考)」が紹介されています。矛盾する二つの事柄を素直に受け入れる頭脳のことで、訓練次第で実現できるといいます。

     例えば、2+2=5の数式です。「4も正しいし、5も正しい」と本気で信じるようになってこそ上級者です。「外部にうその説明をしたが、隠ぺいする意図はなかった」などと平気で言える日本の官僚たちも同類でしょうか?

     

    戦争は平和である!?/改ざんと忖度の果てにある社会

     役所の壁には、(1)戦争は平和である(2)自由は隷属である(3)無知は力である――という三つのスローガンが掲げられています。

     「こんなことを本気で信じる人っているの?」というのが私たちの正常な反応でしょう。主人公のウィンストンも心の片隅では疑っていました。でも、最終場面では二重思考が身につき、そして…。

     安倍政権下では公文書や記録、統計の改ざんが相次いでいます。首相や政府に都合の悪い事実を消して、都合のいい「事実」に書き換えていくということ。官僚が忖度(そんたく)を重ねているうちに疑いをなくし、矛盾を感じなくなったら、もうおしまいです。

     今の日本の状況は「1984年」が描く社会の一歩手前まできているのかもしれません。