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    コロナうつ

    プラス思考で乗り越えよう

    横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義医師に聞く


     新型コロナウイルスをめぐり、今後の見通しがつかないことや、長引く自粛生活、感染への不安、仕事上の変化など精神的ストレスは大きく、心の不調を訴える人が増えています。横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長で医学博士の山本晴義医師に聞きました。

     

     「コロナうつ」という言葉をインターネットなどでよく見かけますが、実際こうした病気があるわけではありません。経験したことのない不安や焦りを感じ、「気分が沈みがち」「気力の低下」など心の不調を訴える人が増加していることの表れといえます。

     山本医師が2000年から行っている「勤労者 心のメール相談」には、通常は月約600件の相談が、緊急事態宣言下の5月には1202件に跳ね上がり、7月には1300件にも。

     「不安とうつが多く、メンタル不調が顕在化している状況です。普通に生活できていた人が、コロナへの強い不安を感じる中で、日常生活に支障が生じています。外出が制限され、スポーツや散歩もままならず、友達と会うこともできなくなるなど、二重三重に悪循環に陥っています」

     

    日常の変化がストレスに

     相談の特徴は、周囲の人たちへのいらつき。「自分はこんなに頑張っているのに何をしているのか」という怒りです。周りを気にしない若い人の行動に過度に腹を立てたり、在宅勤務や休校で家族が家にいて距離感を保てず、いら立ったりなどです。生活の上での変化は強い心理的ストレスを生じさせるのです。

     こうした症状に陥りやすい人の傾向は、「神経質な人」と「頑固な人」といいます。頑固というと強そうな印象を受けますが、「自分の考えが正しい」という思いが強く、それがマイナスに作用してしまいます。

     仕事の仕方も変化を余儀なくされています。従来のペースではできず、試行錯誤の連続で疲労しがち。山本医師は「終息後も新しい生活にシフトしていくでしょう。仕事の幅やできることが広がれば、財産になります。ピンチはチャンス、チャンスはチャレンジ、チャレンジはサクセスを生む。プラス思考で乗り越えることが大切です」。

     

    不調のサイン見逃さないで

     「コロナうつ」から身を守るには何が必要か。まずはウイルスに感染しないことと、免疫力を高めることが必要――と強調します。感染すれば一層の行動制限がかかります。手洗いを励行する、「3密」を避ける、規則正しい生活を送ることが必要だと言います。体内時計が狂って睡眠の質が下がると、心身の不調を引き起こす要因となります。

     自分や周囲の人の不調のサインを見逃さないことも大切です。眠れない、食べられない、人との会話がおっくう、話さなくなるなどの変化が現れたら要注意。ストレスチェックをしながらメンタル不調を未然に防ぐことが必要です。

     職場の相談体制の整備も欠かせません。一人で悩む状況をつくらず、早めに気づいて早めに治療に入るためにも、「快適職場」づくりが必要です。治療は医療が行いますが、予防は職場全体の役割です。