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    単独過半数を失った自民党

    改憲を語る資格なし

    上智大学教授中野晃一さん

     6月21日、新たな国際労働基準が誕生しました。「仕事の世界における暴力とハラスメント(嫌がらせ)の除去に関する条約」が国際労働機関(ILO)で圧倒的多数の賛成で採択されました。

    〈写真〉〈写真〉中野晃一(なかの・こういち)上智大学国際教養学部教授。安保法制に反対する運動の中で生まれた「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」のキーパーソンの1人で、市民と野党の共闘について積極的に発言しています。「右傾化する日本政治」(岩波新書)、「徹底検証 安倍政治」(編・岩波書店)など著書多数。


    戦後2番目の低投票率

     今回の選挙結果で、まず考えなければならないのは投票率の低さです。全国で48・8%、つまり有権者の半数以上が投票に行かなかった。投票率が長期的に低落する中でついに5割を切ってしまったことに民主主義の危機を感じます。そのことを深刻な事態だと政府が認識していないことも大問題です。

     選挙中のテレビや新聞の報道は各党の公約を並べて見せるものが多くありますが、与野党を横並びに報道するのは間違いです。

     与党には政権を担ってきた責任があります。前回の選挙で掲げた公約は実現したのかなど、「業績評価」を批判的に吟味した報道がなければ、有権者は選挙で何が問われているのか分からず、興味が持てません。

     

    結果は自民党の敗北

     自民党は改選前の単独過半数を維持できませんでした。これは自民党の敗北です。選挙中、自民党と公明党、日本維新の会は憲法について異なる公約を掲げていました。そもそも、「改憲勢力」と、ひとくくりにしていいのでしょうか。3分の2の数字に一喜一憂すべきではありません。

     3党の違いを無視したままで、投開票翌日に安倍首相(自民党総裁)は任期中の改憲実現について改めて言及しました。選挙結果をゆがめるもので、あり得ないことです。

     安倍首相お得意の印象操作発言にだまされてはいけません。同じ土俵に乗らないことが必要です。

     1人区では、自民党現職が多い中で、野党統一候補が10人当選したのは素晴らしいことです。地元の皆さんの頑張りと成果であると同時に、野党共闘なくしてはあり得ない勝利だったと確信しています。

     

    総選挙を視野に

     選挙後、立憲民主党の枝野幸男代表が野党共闘は深まっていると評価し、「次の総選挙は(野党5会派で)政権選択を迫る状況を作りたい」という考えを示したのは重要です。

     市民連合としても各党に働きかけていきたいと思います。