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    2020春闘の課題

    分配構造の転換へ賃上げを

    均等待遇、時短、最賃協定も

     2020春闘の方針論議が本格化しています。実質賃金と可処分所得は下がり、生活は苦しくなるばかり。大企業の内部留保(ため込み利益)だけが国家予算をはるかに上回る規模で膨れ上がるという分配構造を改めるには、しっかりとした賃上げが絶対に必要です。

     働くことに関わる改正法の施行も目白押しです。法を上回る水準の処遇改善を進め、社会全体に広げるのも春闘の大事な役割です。


    日本全体に賃上げを拡大

     生活が苦しい――実質賃金は2012年からこの6年間で大幅に低下。物価上昇に追いついていません。内閣府によると、2人以上の勤労世帯の可処分所得は、ピークの1990年代半ばから約3万円(40~64歳)も減少しています。社会保険料の負担増が主な要因です。一方、企業の内部留保は第2次安倍政権以降、150%増の450兆円に膨れ上がりました。この分配構造の転換が日本社会の課題となっています。

     春闘は1955年に始まった、日本独自の賃上げ交渉スタイル。企業ごとにつくる日本の労組の弱点を補い、みんなで一斉に賃上げを要求し回答を引き出すことで社会全体に賃上げを波及させる仕組みです。

     

    非正規の均等・均衡処遇へ

     2020年4月は、非正規労働者の賃金や、一時金などの手当・福利厚生などについて、職場内の正社(職)員との均等・均衡を義務付けるパート・有期労働法が施行されます(中小企業は21年4月)。手当など個別の項目ごとに、不合理な格差がないようにしなければなりません。法改正に携わった水町勇一郎東京大学教授は一時金(賞与)について、「支給なし」は論外、「寸志」程度も駄目だと強調します。貢献に見合った支給が必要となります。職場内の不合理な格差はチームワークを阻害し、正社員の賃上げや長時間労働是正の妨げにもなります。法律を踏み台に本腰を入れた底上げの取り組みが求められます。

     

    長時間労働是正の機会

     実労働時間が年間2千時間前後と高止まりしています。20年4月には残業の上限規制が中小企業にも適用されます。三六協定を見直し、時間外労働の上限を原則である週15時間、月45時間、年360時間以内に収めるとともに、できるだけ短くするための交渉が求められます。大企業や発注元が自社の残業を短くするために下請けに仕事を押し付ける行為を防止し、週末発注・翌週納入のような不公正な取引を是正しなければなりません。労働組合による監視が必要です。

     勤務終了から次の勤務開始までの休息時間を11時間とするなどの勤務間インターバル協定の締結も重要な課題。過労による健康被害を防止する特効薬です。

     

    最賃協定やパワハラ対策も

     法定の地域別最賃を超えて、職場の賃金の下限を定める企業内最低賃金協定が近年注目されています。出版や民放の職場では時給1500円台や、千円を大きく上回る事例も報告されています。協約締結権を持つ労働組合ならではの取り組みです。最賃協定が一定数集まることにより、その地域の産業の底支えをする法定特定(産別)最賃の新設・改定にもつながります。

     20年6月にはパワハラ防止法が施行されます。職場ごとに、労使で、対策、相談対応、再発防止策などを話し合い、働きやすい職場環境をつくることも春闘の課題。65歳までの定年延長や、60歳以降の賃金の底上げも注目されます。