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こんなときどうする? 労働相談から
従来あった夏季休暇5日分を今年から年休で処理するように言われました。納得いきません。
年休は、仕事で疲れた労働者の心身をリフレッシュしたりワークライフバランスを実現したりするため、労働者が休みを取りたい時に請求して取るものです。よって、原則として会社は労働者の年休の取得時期を一方的に指定できません。
もっとも、2018年の労働基準法改正で、年10日以上の年休が付与される全ての労働者に、年休日数のうち年5日については、使用者が労働者の休む時季を指定して年休を取得させることが義務づけられました。これは年休取得率の低い日本で労働者の年休取得を促進しようとするもので、義務違反に対する企業への罰則もあります。
このような法改正を受けてか、会社が従来あった労働者の特別の夏季休暇や年末年始休暇を勤務日に変更した上で、勤務日に変更された日を年休として5日間一方的に指定するといった相談も寄せられます。しかしながら、これでは労働者の休暇の日数が減らされるだけです。従来あった夏季休暇を無くすことは労働条件の不利益変更に当たり、労働者の同意か、就業規則を変更する合理性がなければ行うことはできません。
年休の取得義務を果たすために夏季休暇を廃止したのだとしたら、合理性は見当たりません。会社に納得いかないことを伝えて、従来通りの夏季休暇の取得を求めましょう。
(弁護士 梅田和尊)