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    どうする?教員の「働き方改革」

    長時間労働減らし学校を笑顔に


     働き方改革関連法が4月に施行されました。教員の場合は、制度改正などを経て来年度から実施されますが、大きな問題となっている長時間労働は解消されるのでしょうか?

     長時間労働の温床といわれるのが、公立学校の教員に適用される「給特法」です。授業準備や事務作業などの残業は「自発的行為」と見なされ、残業手当が支払われません。代わりに給与の4%分の調整給が支払われます。

     使用者に割増賃金を課すことで労働時間を抑制する仕組みや罰則がないことが、教員の長時間労働を助長しているのです。

     文部科学省調査によると、時間外労働が月80時間以上の教員は小学校で3割以上、中学校で約6割に上り、改善は急務です。いじめや貧困家庭への対応、過熱する部活動の指導など授業以外の仕事は増加する一方です。

     

    削減効果に疑問符の「改革」

     文科省の中央教育審議会は、学校と教員の業務を適正化するとして、登校見守りの地域ボランティアや部活指導員の導入などの対策を示しました。これは若干の業務軽減にしかならず、長時間労働削減にはならないと指摘されます。

     来年度から教員の時間外労働は、一般労働者と同じ「月45時間、年360時間」以内を原則とし、「自発的行為」の残業も労働時間として管理されますが、残業代は支払われません。

     夏休みなど長期休暇中の労働時間を、授業期間に移行させる1年単位の変形労働時間制も進めることになりました。

     1日当たりの労働時間の延長は、健康面のリスクを高め、育児や介護を抱える教員にとって仕事との両立がますます困難になるといわれます。

     給特法の見直しをはじめ、教職員定数の改善、1人当たりの授業数制限など、抜本的な解決策には程遠い内容です。

     

    少子化背景に予算削減

     平成31年度の教職員定数に関する予算(小中学校教育)は、働き方改革に関連する部活指導員やスクールカウンセラーなどを13億円増額。一方、少子化や学校統合を反映して教職員約4千人分の予算を前年度比27億円減額しました。

     政府の経済・財政再生計画が「理想の教育環境を追い求めると、必要なものは際限なく存在し、予算はいくらあっても足りない」と主張し、人口減少を前提とした予算を求めたことを踏まえた措置です。

     しかし文科省の調査によると、多くの都道府県が国に対して「教職員定数の加配措置による支援」を求めています。

     人口減少ありきの予算では、教員は過労死リスクにさらされ続けます。教員を増やして教育を充実してほしいという声に、国は背を向けたままです。

     

    教員の健康は子どもの安心

     こうした中で教員や研究者らが長時間労働是正に向けた給特法改正を訴えるネット署名に取り組み、3万2500人分の署名を昨年12月、厚生労働省と文科省に提出しました。

     呼びかけ人の一人で、中学校教員の夫を過労死で亡くした工藤祥子さんは語ります。「先生の心身の健康と余裕が子どもにとって一番の安心であり、成長につながります。先生や保護者みんながそのことを共有し、思いやりながら、笑顔あふれる学校をつくってほしい」