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    会計年度任用職員―処遇改善こそ大切

    自治体業務の丸投げはダメ


     今、地方自治体の中に非正規職員の業務を丸ごと民間に委託してしまおうという動きがあります。雇用はどうなるのか、住民サービスは維持されるのかが心配されています。

    新たな職員制度を回避?

     非正規職員が担っている業務を民間に包括委託する動きの背景には、「会計年度任用職員制度」の実施をすり抜けようという思惑があります。

     この制度は、臨時・非常勤職員の大半を移行させるというもので、一昨年成立した改正地方自治法・地方公務員法に基づいて来年4月、実施されます。改正法の趣旨は適正な任用・勤務条件を確保することです。新制度は一時金(期末手当)の支給にも道を開きました。

     ところが、多くの自治体は財政状態が厳しく、一時金支給といった処遇改善に消極的です。そのため「業務を民間委託すれば、非正規職員に処遇改善しなくて済む」という方法に注目が集まったのです。

     実は自治体向けの「研修」などで、委託化を働き掛けている民間企業もあります。安倍政権は公共サービスの民営化・委託を推進する姿勢であり、財政難に悩む自治体にとっては「渡りに船」に映ったのかもしれません。

     

    民間委託は法違反の温床に

     問題は、包括委託によって非正規職員の雇用と住民サービスがどうなるのか、です。民間企業が業務を受託すれば、非正規職員は雇い止めになる恐れが出てきます。適正な雇用・勤務条件という改正法の趣旨に逆行するのは明らかです。

     さらに、自治体業務の民間委託は東京都足立区のように労働者派遣法違反になる心配があります。

     業務を請け負った企業は自前で業務を完結させなければならず、自治体職員から指示を受けることができません。指示を受けていれば、それは「派遣労働」。派遣会社でない者が派遣事業を行うのは違法です。

     でも、自治体職員の指示を受けずに請負企業の社員が複雑な業務をこなすのは至難の業。業務遂行に支障を来し、住民サービスの低下は避けられません。静岡県島田市で包括委託計画の予算案が、否決されたのもそのためです。住民サービスの低下を心配する声の存在がありました。

     安易な民間委託ではなく、非正規職員が納得できる会計年度任用職員制度をつくることが必要です。必要な財源は、政府が検討すると約束した財政措置を求めるべきでしょう。

     

    東京・足立区/相次いだ是正指導

     足立区による戸籍業務の委託については、東京法務局と東京労働局がそれぞれ是正指導を行った経緯があります。法務局は「判断を伴う業務は区役所職員が行うこと」を指導。区は正規職員を戸籍課に戻しましたが、請負会社の社員が職員から業務指示を受けていたことから、労働局からも派遣法違反を指摘されたのです。自治体業務の丸投げは困難ということです。

     

    静岡県島田市/法の趣旨にそぐわず

     島田市は包括委託計画について、会計年度任用職員制度で人件費が増えることを理由に挙げましたが、財政上の理由で同職員制度を回避するのは「改正地方公務員法の趣旨に沿わない」(総務省)と国会で指摘されました。職員の指示を受けられない請負会社社員の増加にも心配の声が上がって計画は頓挫。住民サービスを二の次にしたのが間違いだったということです。