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    コロナ禍で大切さ再確認

    今こそ公共サービス拡充へ


     コロナ禍の下、医療や公衆衛生、雇用・生活の保障に関わる行政サービスがいかに大切かを痛感させられました。とすれば、今こそ公務公共サービスを拡充するチャンス。自治体労働者を組織する産別労組は今春闘で、拡充に向けて従来以上に取り組みを強めています。

     

    「もっと投資を!」キャンペーン/自治労の取り組み

     自治労の鬼木誠書記長は「コロナ禍で公共サービスの必要性をより強く住民に認識してもらえるようになっている」と強調し、春闘では「公共サービスにもっと投資を!」キャンペーンを展開します。

     自治体職場には医療や公衆衛生、清掃、公共交通、行政相談・給付対応など、社会の維持に不可欠な「エッセンシャルワーカー」が多く働いています。ところが、民営化や統廃合、人員削減で十分な機能が果たせない状態が続いています。そうした実態が、コロナ禍で住民に広く知られるようになったのです。

     自治労のキャンペーンでは良質な公共サービスの確立と公務労働者の処遇改善に向けて、より大きな世論づくりを目指します。

     具体的には、本部が各地の単組や現場の実情を取材してアピール動画を作成。全国各地の街頭で上映して訴える「パブリックビューイング」を行います。3月12日を全国統一行動日に設定し、3~4月に集中して取り組む方針です。

     

    「こんな地域と職場をつくりたい」/自治労連の取り組み

     自治労連の石川敏明書記長は「以前なら、公務員を増やせと訴えればバッシングを浴びたが、コロナ禍で世論が変化し始めた。医療や保健所などの人員増が住民から支持されるようになってきたと感じる」と強調します。

     そうした中で取り組む今春闘では、「こんな地域と職場をつくりたい」運動に力を入れる方針です。職員の配置基準を見直すとともに、住民のいのちと暮らしを守る自治体・公務職場にしていくことを目指しています。

     合言葉は「地域に足を踏み出そう」(石川書記長)です。コロナ禍による生活や商売・仕事の厳しさを肌身で感じ、それを行政の拡充に生かそうというもの。

     住民とともに公立病院の存続を求める運動(静岡)や、商店街の実態調査を通じて行政施策のあり方を見直す取り組み(京都)――などの先進例を共有しながら、全国へ実践を広げたい考えです。5月には、そうした運動の全国交流集会も開く予定です。

     

    削減か拡充か/世界でせめぎ合い

     公共サービスの拡充は、コロナ禍が広がる以前から世界共通の課題になっていました。

     経済のグローバル化が進む中で公共サービスの民営化・民間委託が進行。財政難に苦しむ国には、世界銀行などから緊縮政策が押し付けられ、業務と人員、社会保障の削減を余儀なくされてきたためです。

     一方で、パリ市での水道再公営化(2010年)など、水道や鉄道を再び公共の管理に戻す動きもあります。

     国連は2002年の総会で「公共サービスの日(6月23日)」を制定。毎年、公務公共の意義を再確認する取り組みを呼び掛けています。03年には、公務労働者の国際産別である国際公務労連(PSI)が「質の高い公共サービス」キャンペーンに着手。今も活動の柱に据えています。公共サービスは削減か拡充かをめぐり、世界中でせめぎ合いが続いています。