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    北朝鮮の核・ミサイル問題/過剰反応の先にある危機

     北朝鮮のミサイル発射が止まりません。これに歩調を合わせるように、安倍首相が9条改憲を明言し、各地でミサイル避難訓練が行われるなど、きな臭さもアップ。でも、北朝鮮が日本を攻撃することなどあるのでしょうか? 「危機」の正体を探りました。

     

    ●ミサイル発射はゆがんだ対話術

     

     4月29日、北朝鮮のミサイル発射に合わせて、東京メトロが全線で運行を見合わせました。一方、次々に再稼働されている各地の原発は運転を継続。本気でミサイルを警戒するなら、原発こそ止めるべきなのに、いったいなぜ?

     その謎を、外務省でアジア局中国課長などを歴任した政治学者の浅井基文さんは「安倍政権も北朝鮮が自ら攻撃を仕掛けることはないと分かっている」からだと指摘します。

     もし北朝鮮が軍事行動を起こせば、米韓の報復で金政権が崩壊するのは確実。それが分かっていて自ら攻撃を仕掛けるはずがないということです。言われてみればその通り。では、核実験とミサイル発射は何のためなのでしょう。

     「北朝鮮にとってのミサイル発射はゆがんだ手段」と分析するのは、軍事問題に詳しい早稲田大学の水島朝穂教授(憲法)です。拉致問題をめぐり日本との外交チャンネルが切れ、6カ国協議(日米韓中露北)もストップ。北朝鮮は外交的に孤立しています。

     「(ミサイルは)『わが国にもっと会ってくれ』というメッセージです。戦争する気がないからこそ、いろいろな種類のミサイルを連発し、手の内を見せている」と分析します。

     

    ●地面に伏せて核被害を防ぐ!?

     

     韓国もアメリカも国内はミサイル発射にいたって静か。ヨーロッパでは話題にすらなっていません。ひとり大騒ぎしているのが安倍政権です。何が狙いなのか?

     浅井さんは「『脅威』を叫ぶことで軍事力を強化し、集団的自衛権の行使に踏み込む。さらには憲法改悪にまで突っ走りたいのが本音」と喝破します。

     森友・加計学園問題で疑惑を持たれる安倍首相にとって、北朝鮮のミサイル発射で危機があおられるのは好都合といえるかもしれません。

     さらに、危機をあおる手段として始まったのがミサイル避難訓練です。各地で住民参加による取り組みが広がっていますが、戦前の防空演習の研究も行う水島さんは「(ミサイルの)警報を流した時には、もう遅い。着弾してます」と、訓練のばかばかしさを指摘します。

     しかも、核ミサイルの可能性すらあるはずなのに、「地面に伏せて」といった無責任な訓練内容。それでも「国民を不安にさせる効果は絶大」だと水島さんは警告します。

     

    ●国民を危険にさらす安倍政権

     

     安全保障の基本は敵をつくらず、戦争を起こさないこと。そのための外交です。

     ところが安倍政権の北朝鮮政策は、「対話と圧力」といいながらも、実際は圧力だけ。日本海での米軍との共同訓練など憲法違反の軍事威嚇も続けています。北朝鮮の核とミサイルが「防衛目的」「対話目的」であっても、挑発がエスカレートすれば、本当の戦争に発展する可能性はゼロではありません。

     水島さんは「安倍政権による北朝鮮への強硬姿勢が、国民の命を危険にさらしていることに、気づく時です」と訴えています。