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    上から目線の自治体「改革」

    総務省の2040報告


     総務省が大胆な自治体改革を提起し、具体化に向けた作業が始まりました。全国市長会や全国町村会からは「机上の発想」「上からの押し付けだ」などの声が上がっています。一体、自治体をどうしようとしているのでしょうか。

     

     総務省が今年7月に発表したのは「自治体戦略2040構想戦略研究会」報告です。これを受けて、地方制度調査会がスタートし、必要な法改正を行うこととしています。

     報告は、人口減少が進むことで自治体は税収や交付税が減り、2040年には立ち行かなくなると指摘。そうした危機的状況に備えた対策が必要だとして「行政の大胆な書き換え(行政改革)」「人口縮減時代のパラダイムへの転換」を求めています。

     具体的には(1)人工知能(AI)を活用した職員の半減化(2)自治体が全てのサービスを担うフルセット主義からの脱却(3)基礎自治体から圏域単位の行政への転換――などの処方箋を示しているのが特徴。住民に身近な市町村では行政を維持できないという前提で、大リストラを提起しているのです。

     7月に始まった第32次地方制度調査会では、全国市長会の立谷秀清会長(福島県相馬市長)が「地方創生に頑張ろうとしている努力に水を差す」と批判。全国町村会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)も「上からの押し付けだ。机上の発想ではなく、現場の実態を踏まえてほしい」と反発しました。小規模自治体の切り捨てになるとの懸念の表明です。

     

    1 住民に寄り添えない行政に?/企業のもうけが優先

     報告は「スマート自治体」への転換を提起し、人工知能(AI)やロボットを活用した職員の半減化を求めています。

     住民票や印鑑証明の自動交付というレベルではありません。窓口では機械が応対し、人間がいなくなる事態も考えられます。複雑な事情を抱えて来庁する住民に寄り添えるのかどうか、心配されます。

     業務の民営化・委託化で、既に自治体は「スリム」になりつつあります。公共サービスをさらにビジネスチャンス、もうけの対象にした事態が進みかねません。

     

    2 地方に画一化を押し付け?/住民不在のどう喝

     人口減少は事実だとしても、それにどう対処するかは自治体と住民が主体になって考え、政府が支援する形が求められます。各地で「地方創生」の努力も行われています。

     少なくない小規模自治体が、住民とともに独自の「強み」を生かした街づくりに挑戦しています。北海道訓子府町では、福祉と教育に力を入れ、未就学児の自然増を実現。同じ北海道の西興部村では、地場の木材産業を生かした楽器製造会社の設立などで雇用を生み出しています。

     こうした努力への評価もなく、上からの改革を提起するのは乱暴です。

     

    3 狙いは合併の促進か?/広域で協力と言うけれど

     報告は、自治体が全ての業務を担う必要はないとして、近隣自治体と連携し圏域単位で行政サービスを提供する形を推奨。そのための法改正を求めています。

     「広域で協力」といっても、対等な関係で行えるかどうかが問題です。「平成の大合併」では結局、中核となる自治体と小規模自治体との間に格差が生じました。周辺部では出張所の統廃合などが進んだのです。

     政府が音頭を取る「圏域化」では、同じようなことが起きる可能性が大。関係者の間では「隠れた自治体合併促進計画だ」とささやかれています。