「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    いまここにある「フェイクニュース」

    大規模印象操作が民主主義の脅威に


    米国/偽ニュースで発砲事件

     昨年行われた米国大統領選挙では、多くの偽ニュースが拡散されました。代表的なものに「ピザゲート」があります。クリントン候補陣営の、ある民主党幹部が小児性愛者で、ワシントンのピザ店を拠点とした児童売買に関わっているという偽ニュースでした。

     信じ込んだ一般男性によるピザ店乱入事件まで発生。男性は「店の地下室に監禁されている子どもたちを救出する」と発砲までしたといいます。もちろん子どもはおらず、地下室も存在していませんでした。

     偽ニュースは有権者の投票行動にも影響したといわれています。トランプ大統領は既存メディアを「フェイクニュース」とののしりますが、彼自身が偽ニュースのおかげで当選した可能性もあるのです。

     

    日本/小遣い稼ぎに嫌韓ニュース偽造

     日本での偽ニュース問題では、「大韓民国民間報道」が有名です。現在は閉鎖されましたが、韓国に関する政治、文化的な偽情報が満載された偽ニュースサイトでした。「ソウル市で日本人女児が強かんされ、起訴された犯人は無罪になった」といった偽ニュースは大いに注目を集め、嫌韓感情があおられたと考えられています。

     インターネットメディア「Buzz Feed Japan」の取材に応じたサイト運営者は無職の20代男性。広告収入による小遣い稼ぎ目的でサイトを立ち上げました。特別な嫌韓感情はないものの、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠元会長などを情報の「拡散手」として想定していたそうです。知名度の高い桜井氏に拡散してもらえば、サイトの閲覧回数が上がり、連動して広告収入が増えると見込んでいたからです。

     実際、桜井氏はこの情報を拡散。7万回程度シェアされた記事もありましたが、サイトを1年運営した結果の広告収入は5千円に過ぎなかったそうです。

     

    チェック機能の構築はじまる

     日本には偽ニュースを取り締まる法律はありませんが、ドイツでは「フェイクニュース規制法」が成立。シンガポールも法整備を検討中で、世界各国で対策が進められつつあります。そこにはあるのは「偽ニュースは民主主義の脅威」という共通認識です。

     既存メディアが協力してネットニュースの事実確認を行っていく動きもあります。偽ニュースを検証する組織として2015年に立ち上げられたNPO「ファースト・ドラフト・ニュース」は、ソーシャルメディア上の情報の真偽を確認するソフトウエアを共同で開発中。各国の報道大手との連携も呼びかけており、昨年秋にはニューヨークタイムズやルモンドなどが参加を表明しました。日本からはヤフーが参加しています。

     

    反共記事や偽ニュース拡散に報酬!?

      「反共・反民進」「嫌韓・嫌中」の記事や投稿にお金を払う――こんな求人広告が話題になっています。仕事仲介サイト大手のクラウドワークスに掲載された「政治系の記事作成。保守系の思想を持っている方限定」とするブログ作成の求人です。「共産党の議員に票を入れる人って反日ではないか」「民進党の政策と反対のことを行えば日本は良くなる」といった記事に1本800円の報酬を支払うという内容でした。クラウドワークスは9月21日に「ガイドラインに違反する」と掲載中止を決めています。

     同サイトには、過去にも右翼系の偽ニュースなどの拡散に報酬を支払うといった「求人」が掲載されたことがあります。いずれも募集主の詳細は不明。ネットを使った世論誘導が目的と考えられています。