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    なくそう!職場のセクハラ

    ~被害者にも加害者にもなってほしくない~


     福田淳一前財務次官によるテレビ朝日記者へのセクハラ問題。財務大臣が「セクハラ罪という罪はない」などと加害者をかばう様子は、とても女性差別撤廃条約の批准国とは思えません。

    改正均等法から20年だけど…

     セクハラの概念は、1980年代に米国から入りました。これ以降、職場での性的なからかいなど、日本の女性たちが泣き寝入りしてきた問題が社会化され始めたのです。

      1997年に成立した改正男女雇用機会均等法の指針には、セクシュアルハラスメントに対する事業主の「配慮義務※」が規定されました。「どこまでセーフで、どこからアウト?」といった議論が当時話題になりましたが、指針では「意に反する性的言動」はすべてセクハラとされました。ところが均等法30年を経た今も、この点が職場には浸透していません。

    ※2006年改正で「措置義務」となり、男性も被害対象となり、17年には性的少数者(LBGT)にも拡大されました。

     

    一度の研修では不十分

     「嫌だったらNOと言うべきだった」――セクハラが表面化すると、被害者の落ち度を探すバッシングが必ず起きます。しかし被害者にしてみれば、加害者は職場での立場も年齢も上。報復を恐れ、声を上げられないのです。

     多くの職場では、新入社員に啓発ビデオなどによるセクハラ研修を行っていますが、盲点になっているのが均等法成立以前に就職した中高年世代です。保守的な土地柄に育った男性などは、一度の研修では長年培った女性への差別意識を拭い去れないことが指摘されています。

     声を上げられない女性の弱みに付け込み、「このくらいは大丈夫」と勝手な線引きをしている加害男性は、こうした世代を中心にまだ残存しています。

     

    セクハラへの厳しいルールを

     麻生大臣の言うように、セクハラが刑法上の犯罪には該当しないのは事実です。均等法も「セクハラ対策は事業主の義務です」とするのにとどまっており、セクハラを禁じてはいません。

     だからこそセクハラ禁止を職場のルールに位置づける対策が求められています。労組が率先して取り組むべき課題です。「セクハラには労組が厳しい目を光らせている。ルールを破れば社内で厳しい制裁を受ける」という認識を浸透させること。それが女性にも男性にも性的少数者にもやさしい職場への第一歩です。

     

    「結婚しないの?」もアウト!

     性的な言動で労働者の就業環境が害される「環境型セクハラ」。男性から女性へのセクハラはもちろん、女性から男性、同性間も対象です。「彼女・彼氏はできた?」「結婚しないの?」などと尋ねたり、宴会の後で「キャバクラに行こう」などと強要したりするのもNG!

     性的少数者の権利を保障しようという流れも強まっています。「スカートだと女性らしくていいね」など、性別が強調されるような言動や、恋愛嗜好(しこう)に関しての話題は要注意です。人権問題としてセクハラを認識することが大切です。

     

    どこに相談に行ったらいいの?

     セクハラを受けたら独りで悩まないことです。まずは労組を頼ってもらいたいところですが、以下のような機関でも専門家の助言が受けられます。相談員には守秘義務があり、外部に漏れることはありません。

     

    (1)弁護士…日本労働弁護団では、女性弁護士による女性の労働相談を受け付けています(電話03-3251-5364、毎月第2・4水曜日 午後3時~午後5時)。

    (2)男女共同参画センター…都道府県や市区町村の施設。女性のための相談窓口で同性の弁護士やカウンセラーの対応日を設けているところもあります。

    (3)労働局雇用環境・均等部(室)…各都道府県の労働局の相談窓口へ。男女雇用機会均等法に関する相談を受け付けています。

    (4)法務局人権擁護部…LGBTや女性の人権侵害の相談も受け付けています。事案によっては調査を行い、勧告・要請してくれます。電話、ネットでも対応可。