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    労政審に注目!

    どうなる?

    高プロ制、ハラスメント対策


     公益、労使の代表でつくる労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関、労政審)で今、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)の政省令策定やハラスメント対策をめぐる審議が進んでいます。

     

    制度の詳細めぐり激論

     際限なく労働者を働かせることができる高プロ制の対象業務など制度の詳細を議論しているのは、労政審の労働条件分科会。

     この中で厚生労働省は研究開発やコンサルタントなど5業務を対象とするよう提案しています。「研究開発業務は新商品の開発に限る」と同省は説明しますが、労働側委員は「範囲が広すぎる」「製造業の技術畑の人は全員入ってしまう」と強く反対し、安易に対象者が広がらない規制を求めています。

     対象者となる年収要件も焦点です。法律の条文では「平均給与額の3倍程度を相当上回る」とされ、同省はその水準を「1075万円以上」としています。

     年収要件に一時金や交通費を含めるのかという指摘のほか、「平均給与額」の算出根拠となる統計(毎月勤労統計)にパート労働者の賃金が含まれていることを問題視し、「真に交渉力がある専門業務が対象であるならパート労働者を除外して計算するべき」との意見も出されています。

     厚労省は新入社員を高プロ制の対象に含むことを否定していません。労働側は勤続年数などの制限をつけるべきと主張しています。

     

    〈写真〉高プロ制には多くの労働組合や弁護士らが反対してきた(5月22日、日本労働弁護団主催の集会)

     

    法規制か指針止まりか

     職場のセクハラ・パワハラ規制についても審議が進んでいます。労働側は「国際水準に合わせたハラスメントの包括的な禁止規定」を含む法規制を求めているのに対し、使用者側は「セクハラ、パワハラを分けて議論し、規制ではなくガイドラインにとどめるべき」と意見が対立しています。法規制に踏み込むか、指針にとどめるかの労使の攻防が続いています。

     通常国会で見送られた裁量労働制適用を拡大する法案の再提出をにらみ、裁量制の調査のあり方に関する検討会も始まりました。結論ありきの議論とならないよう、問題点を浮かび上がらせる調査が必要です。

     

    労政審の可視化が必要

    裁量労働制のデータ不正を発見した/上西充子法政大学教授

     国会審議はインターネットでも中継しており、ある程度議論が国民に開かれているが、労政審は中継もなく傍聴も抽選制。議事録が出るまでにかなり時間がかかる。極めて閉鎖的な場所で高プロ制など働く人全体に関わる制度が決められているのが現状だ。

     形式的には「一般傍聴可」となっているが、国民に広く議論を聞いてもらいたいという姿勢は感じられない。裁量労働制に関する調査のあり方を話し合う検討会では私をはじめ、データ不正を指摘してきた研究者は委員に選ばれていない。委員の任命基準も不透明だ。結局、「ここまで議論した」という免罪符に都合よく使われてしまっている。

     

    ●まだ終わりではない

     

     高プロ制の政省令を決める労働条件分科会では労働側委員が積極的に発言し頑張っているが、そうした状況が広く知られていない。国会で野党議員が指摘した問題点や、付帯決議の内容が、労政審の議論でも生かされている。自分たちの予定通りに議論を進めたい厚労省側と、労働規制について少しでも歯止めをかけたい労働側で日々、せめぎあいが続いている。

     決して「法案が通ったら終わり」ではない。労政審を内輪の審議にしないよう日々国民が監視し、議論の内容に光を当てていくことが必要だ。