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    困ったら、まず生活保護を/法政大学教授 布川日佐史さん

     新型コロナウイルスに関わる電話相談から、収入が途絶え「もう生きていけない」という、人々の生活破綻の広がりが明らかです。このままでは膨大な人数が路頭に迷うのではないか、そんな恐怖さえ感じます。一刻を争う状況を直視し、まずは生活保護で暮らしを支えることを提案したい。

     政府は緊急対策として、貸付や給付金などを決めましたが、時間的にも金額的にも間に合いません。政府は、今すぐ生活費が必要という切迫感を共有すべきでしょう。

     この点で私は、ドイツが取った対策を紹介したい。ドイツ国会は3月27日、「社会的保護パッケージ法」を採択し、同29日に施行しました。生活保護の申請手続きを大胆に緩和したのが特徴で、最大120万世帯の新規受給を見込んでいます。その費用として96憶ユーロ(約1兆1千億円)を充てます。

     貯蓄や不動産など資産があることも問わず、申請の際に「大きな資産はない」と宣言すればよい。住宅扶助の上限制限をなくして今住んでいる住居の家賃額を給付。住居を失わずにすむことになりました。4月には、滞在資格のない外国人の生活保護受給も認めるとの裁判所の判断が示されました。

     連邦雇用省は「漏れのない給付決定の方が、身元や受給資格の確認よりも優先する」と言い切っています。

     日本の生活保護制度のように、預貯金を調べてからとか、親族などへ扶養紹介をしてからとか、住宅ローンがあるから駄目とか、そんなことを言っていると一家が生きていけません。ドイツはとにかく最低6カ月間は「生活保護で生活を守る」ことに腹を決めたのだと思います。この結果、各都市で申請数が急増しています。日本も参考にしてほしい。

     

    ふかわひさし

    1954年生まれ。専門は労働経済論、公的扶助論。静岡大学教授を経て、現在法政大学教授。著書に「現代の貧困と公的扶助」(高菅出版、2016年、共著)など。