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    発言抄                                施設出身者の「学び」を応援/NPO法人「ようこそ」理事長 庄司洋子さん

     18歳で児童養護施設を退所した若者のためのシェアハウスを運営しています。建物は築60年の一軒家をリフォームしたもので定員は5人。大学や専門学校などに進学する女性が入居できます。

     女性限定にしたのは、建物の構造上、両性同居が難しいということもありますが、風俗産業などアルバイトに流れやすい女性のほうが男性より支援を要すると考えたからです。進学する人にしぼった理由は、行政の支援が手薄なため。施設を退所後の受け皿となる「自立援助ホーム」はほとんどが就労型。進学する場合は民間のアパートなどに入らざるを得ません。

     入学後は家賃と学費を稼ぐためのアルバイトが過酷で、そのため一般家庭の学生に比べ中退率が高い。家族問題を長年扱ってきた研究者として、何とかしたいと思っていました。そこで大学退職後、親族から譲られた空き家を活かし、シェアハウス事業を行うことにしたのです。家賃は光熱費と食費(1日2食提供)込みで5万円。ハウスアテンダントを常駐させる経費などを考えると厳しいけれど、これ以上高くできません。今でも学生はアルバイトで疲弊しているからです。

     行政は若者の「学費と家賃の二重負担」を軽減させるべくかじを切るべきです。支援策はいろいろあるでしょう。まともな給付型奨学金制度が設立されれば、学費の負担はなくなります。空き家を利用したシェアハウスに住む学生には自治体が家賃を補助するのでもいい。私たちのようなハウスが全国に増えるかもしれません。ここでは満室受け入れても5人だけ。支援を要する若者は大勢います。現状は優秀な人に支援が偏りがち。こうした悲しい「選別」がなくなることを願いながら支援を続けていきます。

     

    しょうじようこ

    立教大学名誉教授。2016年よりNPO法人「ようこそ」理事長として児童養護施設出身者のためのシェアハウス運営。(公式HPはhttps://www.npoyokoso.com/)