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    食の安全は崖っぷち

    食政策センター・ビジョン21代表 安田節子さん

     日米2国間の自由貿易協定交渉が4月に始まり、私たちの「食」の安全安心はもう崖っぷちです。後のない断崖絶壁に立っている状態だといえます。

     日米交渉を通じて、日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)で合意した内容以上のものを米国に強いられるからです。関税の引き下げや撤廃によって輸入農産物の増加は必至であり、それに伴い危険な農薬や添加物、遺伝子組み換え(GM)作物も多く入ってきます。

     「日本は衛生に厳しい国」という評価は過去の話。どんどん安全規制が緩められた結果、日本は粗悪な輸入食品の吹き溜まりになってしまいました。

     例えば、2017年12月には発がん性のある農薬グリホサート(除草剤)の残留基準が大幅に緩和されました。小麦は5ppmが30ppmへ6倍に、そばとライ麦は150倍です。米国では収穫直前の小麦などに農薬をかけて枯らし、刈り取りを容易にする農法が行われています。プレハーベストといい、これだと農薬がたくさん残ってしまうのです。

     牛海綿状脳症(BSE)対策として輸入牛肉は生後30カ月以下のものに限定してきましたが、その規制も今年5月に撤廃。わずかの検査しかしていない米国から危険な肉が入ってくる恐れが指摘されています。

     発効済みのTPP11はGMの輸入促進を定めており、日米交渉でも迫られるでしょう。GMや添加物の表示が困難になる事態も進行中です。

     日本政府はこれまで、自動車輸出と引き替えに国民の命と健康に関わる規制を緩め、農業を犠牲にしてきました。ここでなんとか踏みとどまらないと、この国は衰退する一方になってしまいます。

     

    やすだせつこ

     1990年から日本消費者連盟で食の安全と食糧農業問題を担当(~2000年)。「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局長などを歴任。