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    被爆者運動の記録、次世代に

    ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会事務局 栗原淑江さん

     「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の設立(2011年)に参加しました。「被爆者たちによる原爆とのたたかいを人類の歴史に刻むアーカイブス」をめざし、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の資料や、被爆者の体験記、調査研究の資料などを収集・整理し、後世に伝える作業に携わっています。

     日本被団協の事務局員だった1980年代、草創期の運動を担った被爆者が次々に亡くなり、「被爆者の生きた記録や運動の資料を残さなくてはならない」と思ったのが原点です。

     人類未曽有の原爆を体験した被爆者たちの運動は、前例のない創造的な運動で、学ぶことが多くあります。被爆者が自ら立ち上がり、日本被団協を結成。原爆被害の非人間性を解明し、〝ふたたび被爆者をつくるな〟と求めてきました。

     自分たちがなぜ、こんな被害に遭ったのか。被害をもたらした米国や日本政府に、被爆者として何を要求するのか。どのように世論に訴え、そのためにどんな活動が必要なのか。議論をたたかわせながら、要求や運動方針をまとめていく過程を記した資料も残っています。

     メディアは、被爆者が核兵器廃絶を求める運動を大きく報道します。他方、「原爆被害への国家補償」の要求と、それを拒む日本政府の姿勢は取り上げません。この二つの要求は切り離せません。

     政府が核抑止論にしがみつき、核兵器禁止条約を批准しないのは、国家の非常事態の下では、人間に核兵器の被害を「受忍」させても良いと考えているからです。〝ノーモア・ヒバクシャ〟は私たち自身の課題です。何よりの手がかりとして、被爆者運動の経験を次世代に手渡していきたいと思います。

     

    くりはら・よしえ

     1947年生まれ。一橋大学のゼミ実習で初めて長崎での「被爆者生活史調査」に携わり、日本被団協事務局員に。2011年「継承する会」設立に加わる。