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    スポーツ・ライター玉木正之のスポーツ博覧会(117)

    東京五輪のマラソン・競歩の札幌移転は              「マネー・ファースト」の決定打?

     来年の東京五輪のマラソンと競歩を札幌に移転! このニュースには驚かされた。

     10月上旬カタールで行われた世界陸上のマラソンと競歩が気温30度湿度70%。東京と同程度の環境で多くの選手が途中棄権したことを受け、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は「選手ファースト」の観点から、平均気温が5~6度低い札幌に移すことに決めたという。

     何を今さら! 昨年7月23日、東京は観測史上最高の40・8度を記録。この時の変更なら、まだチケットも発売されておらず、札幌移転の準備期間も十分にあったはずだ。が、9カ月足らずの準備期間では、新たなコース設定、警備計画、ボランティア募集、チケットの払い戻しと新たな発売、選手・役員・観客の宿泊施設の確保…等々、相当の混乱も予想される。

     一方で路面の温度上昇を約10度抑える道路の特別舗装を整備したり、ミストシャワーなど数々の暑さ対策を考えていた東京都は、肩透かしを喰らったも同然。

     男子マラソンは常に五輪最終日に行われる最高のイベントで、浅草、銀座、スカイツリー、皇居など東京の名所が全世界にTV中継されるから、やはり東京で……と思うが、そもそも五輪はIOCが主催し、東京はIOCに協力するのが大原則なのだ。

     とはいえIOCの「選手ファースト」も中途半端で、秋の開催は、高額の放送権料を払うアメリカのTV局が人気スポーツ中継目白押しで許さない。結局IOCは「マネー・ファースト」なのか?

     2024年に五輪開催予定のパリは今年7月、観測史上最高の42・6度を記録。28年予定のロサンゼルスは前回大会(1984年)で熱中症で倒れる選手が続出。「マネー・ファースト」を変えない限り、五輪は地球温暖化の前に消え去る?