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    第6回

    平和主義と自民党改憲案


     自民党は2018年3月、現行の憲法9条1項・2項に加え、「憲法9条の2」という条文を新たに設け、自衛隊の存在とその任務である「必要な自衛の措置」を明記する案を公表しました。

     自民党は、「憲法9条はそのまま残るので、『憲法9条の2』を加えても平和主義や自衛隊の在り方は何も変わらない」と説明しますが、本当にそうなのでしょうか。その答えは、条文案をじっくりと読めば自ずと見えてきます。

     日本国憲法が規定する平和主義には、ある特徴があります。それは、武力の行使を原則として禁止する国連憲章の考え方をさらに一歩進め、武力行使の禁止(9条1項)とともに、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを確認し(前文)、戦力不保持・交戦権否認(9条2項)を定めていることです。

     このように、世界の中でも徹底した平和主義を採用した9条の存在は、1954年の自衛隊の創設、2014年の閣議決定及び翌15年の安保法制の採決を経た現在でも、自衛隊による「武力」行使への一定の制約として機能し続けています。

     ところが、上記の自民党の改憲案をもう一度見てみると、「前条(9条)の規定」は「必要な措置」をとることを「妨げず」と定めており、「必要な自衛の措置」の内容は全く限定されていません。

     そのため、この改憲案ではこれまで9条が果たしてきた海外での武力行使や集団的自衛権の行使を禁止するという機能が失われ、「必要な自衛の措置」として、広く海外での武力行使が容認される危険性が生じてしまいます。

     自民党の改憲案では、歴代の政府がこれまで維持するとしてきた専守防衛策に根本的な変化をもたらし、「戦争のできる国」への第一歩を踏み出すことになりかねません。

    (弁護士 山内志織)