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    経済ニュースの裏側/(63)アベノミクスと統計操作

     その質疑を聞きながら、米エネルギー会社エンロンなどで行われていた「創造的会計」を思い出した。2月4日、衆議院予算委員会での、小川淳也議員(立憲民主党)による統計不正の追及のことだ。

     法の抜け穴を巧みについて利益を膨らませてみせる。大手会計事務所が創造的会計と称して売り込んだ会計操作は、決算を見かけ上「改善」し株価を一時吊り上げた。

     小川議員は、厚生労働省の「毎月勤労統計」だけでなく、「(さまざまな)統計に政治の手が入っている」と、経過をたどりながらただした。

     2015年9月、安倍晋三首相は「GDP600兆円」という大目標をブチ上げる。それを受けて経済財政諮問会議は、骨太方針の「成長戦略の加速」のメニューに、TPPや国土強靭化と並び「統計改革」を書き込む。16年12月には山本幸三行革担当大臣が同会議に出席、「政治主導の統計改革」を迫ったと暴露すると、委員会室はどよめいた。

     「なぜ統計改革が成長戦略なんですか」。小川議員の質問に、茂木敏充経済再生担当大臣は正面から答えることができず、「最新の国際基準に対応した」と釈明。安倍首相は、「統計をいじってアベノミクスを良くする。そんなことできるはずがないじゃないですか」と気色ばんだ。

     だが、「そんなこと」はできている。モノサシを変えた後、15年のGDPは、旧基準による数値と比べ31・6兆円膨らみ、上ブレはその後も続く。

    「国際基準に合わせた」(茂木大臣)ことによる上昇も3%ほどあるが、現政権下では「その他の要因」によるかさ上げが大きい。政権ぐるみの「創造的統計」、経済成長を大きく見せかけ株価を上げるための粉飾の疑いが濃厚だ。

     麻生太郎財務大臣は、「(小川議員は以前)役所におられたのならおわかりと思いますけど、圧力をかけたら数字が上がるものでしょうか」と皮肉った。小川議員は「役所にいたから聞いてるんです」と切り返し、「この政権は(森友学園問題で)公文書を書き換えさせてますからね。なぜそんなことを官僚がやるんですか、追い詰められて」と問いかけた。

     エンロンの破綻を見るまでもなく、粉飾のツケは重い。アベノミクス粉飾疑惑の徹底解明は、民主主義の存立にも関わる急務である。