「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    生活文化・最新記事

    レジスタンスのすすめ(129)/「渡鬼」がスマホを礼賛?

     事もあろうに国連の場で、「セクシー」がどうのこうのとのたもうた小泉進次郎環境相。今回は本来、このトンチンカンを俎上に載せるべきなのかもしれない。だが多くのメディアがそれなりに叩いているし、私とていつまでも本気で「あほぼん」を相手にしている暇はないので、書きたいことを書かせていただく。

     というのは、9月16日の夜、TBS系の長寿ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の3時間スペシャルが放送された。いろんな意味で面白い作品なので、いつものように夫婦で見たのだが、違和感を禁じ得なかったのです、という顛末だ。

     岡倉家の次女・五月(泉ピン子)が年を取り、嫁ぎ先の中華料理店「幸楽」でも居場所を失いつつある。それが、いつの間にかスマートフォンにはまってしまい、ついには得意料理の調理プロセスを動画で配信する「ユーチューバー」に!

     おおよそ、そんな筋書きだった。もちろん例によって五月の長男・眞(えなりかずき)とその妻・貴子(清水由紀)の不仲や三女文子(中田喜子)の緊急入院、五女長子の長女・日向子(大谷玲凪)の新恋人登場などといった、脇のエピソードも盛り沢山ではあるのだが、主眼はどこまでも「高齢者のスマホ」に尽きていた。

     大量のCMの中には、その手のIT企業は見当たらない。とすれば表には出ずに番組の内容に影響を与える「裏スポンサー」か。ネットを利用した悪徳商法が渦巻く現代社会では、高齢者が安易に飛びつけば危険きわまりないスマホの恐ろしさは、この際、まるで顧みられていなかった。

     ああ、私たちはこんな具合にも、巨大資本や政治権力に都合の良い価値観を刷り込まれ、植え付けられていく。だが誰も怒らない。妻が行きつけの美容院で、「渡鬼」ファンの美容師さんに感想を聞いても、いつもと同じ。スマホ万歳の不自然さには気づいていないようだった、という。