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    〈JILAF最賃シンポ〉・上                    「最賃の悪影響はない」/2015年に法施行したドイツ

     ドイツは2015年、法定最低賃金を施行した。当時の水準は8・5ユーロ(1037円)。賃金の低い旧東独地域を含めて、全国一律で導入した。

     産業別労使による労働協約で賃金・労働条件を定めてきたが、90年代後半以降の規制緩和により、協約が適用されない低賃金の非正規労働者が急増した。

     ドイツ労働総同盟(DGB)のヤン・シュテルン執行委員は「最賃法制定にDGBは当初反対したが、規制緩和でワーキングプアが増え、06年大会で法制化要求を確認し、キャンペーンを開始した」と振り返る。その後、13年の国政選挙で最賃が争点となり、法制化へとつながった。

     2年ごとに約4%ずつ引き上げ、20年の現在は9・35ユーロ(1144円)。タクシーや飲食、ホテル、宅配便、警備員、娯楽などサービス業関連の職種や、旧東独地域では2割以上の労働者の賃金が底上げされた計算だ。

     シュテルン氏によると、法施行で「ミニジョブ」という低賃金労働が減った一方、失業率は改善し、企業の撤退や破産などの影響も見られなかったという。

     経営者団体であるドイツ使用者連盟(BDA)のレナート・ホルヌング・ドラウス常務理事も「移行期間を設け、低賃金労働者の賃金を段階的に引き上げたことで、雇用への悪影響はなかった」と語った。

     BDAも当初は法制化に反対した。ドラウス氏は「賃金が低い国からの労働者の移動もある。最終的には法案に賛成した。最賃は賃金上昇とリンクしている。労働条件を立法で保障することは重要だ」と語った。

     ドイツの最賃委員会は、22年7月に10・45ユーロ(1274円)への引き上げを決定している。

     ※1ユーロ=122円で換算