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    〈インタビュー/どうする? 最低賃金〉/地方創生として一元化を(上)/自民最賃議連事務局長/務台俊介衆議院議員

     地域別最低賃金の「全国一元化」を掲げ、自民党有志が2月、議員連盟を発足させた。先進国の平均的な水準への引き上げとセットで主張しているのが特徴だ。デフレ脱却、地方創生、経済政策、国土政策の一環として位置づけている。議連事務局長の務台俊介衆院議員に狙いを聞いた。

     ――今なぜ全国一律制が必要なのですか?

     務台 これまで最低賃金のあり方は労働政策として受け止められてきたが、昨今の若者の東京一極集中という事態を見ると、単なる労働政策ではなく、経済政策であり国土政策だと思っている。賃金の高いところに集まるのは人情。狭い日本でなぜこんなに最賃の格差があるのか、かねてからおかしいと考えていた。一極集中を何とかして是正し、若者が地方に戻りやすい環境をつくる一環としてこの問題を取り上げた。

     ――以前から主張していたのですか?

     地方創生で地方に若者を取り戻す観点から、党内の厚生労働部会ほか地方創生の議論の場で3年ほど前から発言していた。だが、「そんなことをしたら中小企業が困るではないか」と一蹴されていた。若手の中には同調してくれる人もいたが、特に厚生労働族の先生方は「論外も論外。何を言っているのか」と取り付く島もない(笑)。

     最近になって、衛藤征士郎先生(元衆院副議長)や地方創生を推進している山本幸三先生(元地方創生担当相)がアベノミクスの到達点は所得の拡大だとし、これに着目した。デービッド・アトキンソン氏(小西工芸社長)がさまざまな論文を調べ、最賃の全国一元化を主張する「日本人の勝算」という本を書き、色んな人がそれぞれの立場で、日本の経済構造のいびつさを解決するための処方箋を同時並行的に言い始めてきた。それが議連発足につながったのかなと思う。

     ――当初は、外国人労働力の都市集中への懸念が議連発足の目的と報じられました

     外国人労働力の問題は一つの論点になるが、それよりも日本の若者が地方に戻って来やすい環境を整えるのが第一。外国人が都会に集中してはいけないということは、後からついてきた話だと思う。

     

    ●大企業の内部留保に照準

     

     ――議連会長の衛藤元衆院副議長は、大企業の内部留保を下請け、中小企業や労働者に配分する手段として、最賃全国一元化の必要性を強調しています。これは皆さんの共通認識ですか?

     共通していると思う。大企業は労働分配率を高くし勤労者に十二分に利益を配分していればいいが、そうではない。中小企業団体の資料によれば、労働分配率は、大企業が44・2%、中小企業は73・2%。中小企業はある意味、かつかつで賃金を支払っている。

     大企業の内部留保に着目し、それが中小企業に配分される仕組みをつくるというのは、目の付けどころのいいアイデアだと思う。 

      ――自民党の参院選公約に最賃の「地域間格差への配慮」が入りました

     大きな前進だと思う。配慮しつつ3%引き上げ、全国加重平均で千円をめざす。「全国一元化」の意見を踏まえた話です。今年これが入ると将来の骨太方針にも入る。地方創生戦略にもこの課題を入れると言ってくれている。政策の根幹に据えられる。

     

    ●先進国並み水準へ

     

     ――水準はどうあるべきとお考えですか?

     そこは分かりません。購買力平価を用いた比較では先進7カ国(G7)など先進国の中でも日本はそんなに低くはないなど、いろんな見方がある。海外の人が驚くのは、日本は物価が安いこと。そりゃ最賃も低いと思いますよ。ただ、少なくとも、イギリスやフランス、ドイツなどG7各国の平均的な水準にまでは徐々に引き上げていくべきだと思う。

     ――低い県に合わせるのでは、との不安もあります

     それはない。自民党は全国加重平均で千円と言っているし、引き上げる前提で全国一律にする。当然のように全体の水準を引き上げる中で統一をめざします。