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    〈急拡張するビジネスホテルの裏側・上〉業務委託でも実態は労働者/スーパーホテルの支配人ら

     ビジネスホテルの運営を支配人・副支配人として請け負う40代男性(Sさん)と30代女性(Wさん)のカップルが、働き方の実態は労働基準法上の労働者だとして4月10日、実態調査と是正を求めて、上野労働基準監督署に申告した。「格安」を武器に急拡張する背景には、業務委託を利用した人件費の抑制がある。

     

    ●契約解除時に賠償請求も

     

     国内に146店舗を展開し近年、急拡張を続けるビジネスホテルチェーン「スーパーホテル」。エコ・ファースト企業として環境大臣の認定も受けている。その経営スタイルは、ホテルに住み込むことを条件に、夫婦など男女2人と業務委託契約を結ぶ仕組み。約3カ月にわたる研修を経て社内試験に合格後、契約を結ぶ。

     しかし、契約内容とは裏腹に、実態は労働者だと2人は訴えている。勤務先ホテルは一方的に決められ、業務の遂行は詳細なマニュアルで指示される。売り上げに直結する稼働率は常に本社が確認できる仕組みだという。本社の社員から評価を受け、その結果は収入に連動する。

     契約では、支配人らが契約内容や業務要項に従わない場合は、本社が一方的に契約解除できる定めがあり、損害賠償請求も可能だとある。4月17日現在、契約は維持されている。

     

    ●残金は2人で22万円

     

     業務委託料は毎月支払われる。月額で97万6千円。一見、高額だが、その中には複数のアルバイトを雇うための補助金約33万2千円が含まれている。都心の立地なので、平均時給1300円以上でないと確保できず、委託料からさらに月約30万円を持ち出さざるを得ない。その他諸経費を差し引くと、残金は2人合わせて月約22万円。住み込みで家賃や水光熱費の負担がないため、なんとか暮らしていけるのが実情だという。

    アルバイトを多く雇いたいが手元にお金が残らなくなるため、2人がより長く働くしかない。Wさんは朝5時半から午後9時まで働き、その後に仕事をすることもある。Sさんは午後1時から深夜1時半まで。深夜は事実上、出入りが自由なため、宿泊客に呼ばれた風俗業関係者が入り込まないよう、朝5時半まで仮眠せずに待機する。

     稼働率が悪いと契約解除の可能性もある。解除されれば、住まいも同時に失ってしまう。(つづく)

     

    〈写真〉ホテルの業務マニュアルは約1400ページにも及び、個人事業主としての確定申告書の書き方も指示されていた(4月14日、都内)