労災休職中の女性に嫌がらせ オリエンタルランド/執拗につきまとわれ過呼吸に

労働組合と会社が労災からの復職を協議するさなか、休職中の無期雇用出演者の女性に会社役員がリハビリ勤務による復職を拒む意向を伝え、その面談後も社内で女性に執拗(しつよう)につきまとう嫌がらせを行い、女性が過呼吸に陥るという事件が東京ディズニーランドで起きた。休職中の組合員を威圧する行為に対し、なのはなユニオン(全国ユニオン)は運営会社のオリエンタルランドに強く抗議している。
被害を受けたのは、着ぐるみの中に入り、ディズニーのキャラクターを演じる無期雇用出演者のBさん。着ぐるみの負担による頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアなどで2018年に労災認定を受け休職している。なのはなユニオンを通じて復職に向け会社と協議中だ。
Bさんによると、2月、郵便物を受け取りに、職場である東京ディズニーランドに出向いたところ、直属の上司と役員の男性に復職についての面談を持ちかけられた。Bさんは主治医の意見書を踏まえ、当面の間「週2~3日勤務」の希望を、組合を通じて既に伝えている。しかし、役員らは「復職1週間後からのフルタイム勤務」に固執し、希望を受け入れない意向を改めて示したという。
Bさんはユニオンを通じて協議するよう求めて面談を終了し、部屋を出たが、そこから思わぬ事態が待ち受けていた。
少し休憩してから帰ろうと、同行した同僚の組合員と社員食堂に向かったところ、面談を持ちかけた役員の男性が立ちふさがり、大声で「ここから先(食堂)に行くな!」と怒鳴り始めた。
Bさんは恐怖を感じ、その場から離れようと出口に向かって歩き出した。しかし、男性役員が背後にピタリとつきまとい続けた。胃痛と吐き気をもよおしトイレに駆け込もうとしたが、それも妨げられたため、Bさんはパニック状態で過呼吸に陥り、その場でうずくまった。
健康管理センター(医務室)の職員に助けられ医務室で休息。医師の診察を受けた後も、男性役員がつきまとい続けたため、見かねた医務室職員が付き添い、ようやく難を逃れることができたという。
●復職の意思くじくためか
なのはなユニオンの鴨桃代委員長は同社役員らの行為について「会社は彼女を復職させたくないのだろう。労災休職中は労働基準法(19条1項)によって解雇できない。だから嫌がらせをして、彼女が『辞める』というのを待っているのではないか。長い間、労災で休職した後の復職は、労働者にとって相当なストレス。『戻りたい』という彼女をみんなで応援していく」と話す。
以前にも直属の上司による同様の嫌がらせがあり、やめるよう再三、会社に伝えてきたが、今回も繰り返された。
この事件の直後、ユニオンは「復職をめざしている者に対し、恐怖感を抱かせるような理不尽な行為に強く抗議する」との抗議書を提出した。会社の見解をただすとともに、男性役員と直属の上司の謝罪を求め、団体交渉を申し入れた。団交は4月4日に行われる予定だ。
Bさんは18年、職場の上司らによるパワハラで体調を崩したとして、千葉地裁に賠償を求めて提訴。昨年3月に原告勝訴の判決が出たが、会社は控訴し現在、東京高裁で係争中だ。6月28日に判決が出される。
〈写真〉Bさんは事件があった2日後の全国ユニオン「23春闘決起集会」で経過を報告し、「非道なやり方。絶対に辞める気はない。復職するまで闘う」と決意を述べ、参加者の大きな拍手に包まれていた(2月17日、都内)