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    2016年

    4月

    26日

    配慮欠けば人格権侵害に/福岡地裁で勝利判決/業務軽減めぐるマタハラ裁判

     福岡県北九州市で介護士として働く西原ゆかりさん(35)が、妊娠後の業務軽減が認められないなどマタニティーハラスメントを受けたとして、勤務する介護サービス事業大手「株式会社ツクイ」(本社・横浜市)と元所長の女性を訴えた裁判で、福岡地裁は4月19日、マタハラの事実を認め同社と元所長に35万円の損害賠償支払いを命じた。

     西原さんは2009年より契約社員として同市のデイサービスセンターに勤務。13年7月末に妊娠が分かり所長(当時)に業務軽減を申し出たが、所長から「妊婦として扱うつもりはない。万が一何かあっても働く覚悟はあるのか。妊娠に関係なく(働き方に)改善が見えない限り更新はない」などと言われた。判決ではこの発言に関し、業務軽減などの配慮義務を欠き、社会通念上許容される範囲を超えているとして「妊産婦労働者(原告)の人格権を害するもの」と断罪した。

     加えて裁判所が問題視したのは、会社側の対応だ。西原さんの業務は軽減されず、入浴介助やベッドからの移乗、車いすを持ちながらの階段昇降など重労働を行い、12月に切迫早産と診断された。判決は会社側が「妊娠した原告の健康に配慮する義務を負っていた」と指摘。その上で、所長を通じ妊娠の報告を受けた8月から12月まで会社として何の対応もしなかった点について、「(雇用契約に付随する)就業環境整備義務に違反した」とその責任を認めた。

     

    ●マタハラなくす第一歩

     

     判決を受け西原さんは「妊娠したらさようなら(退職)ではいけない。一人一人(の労働者)が大切にされてこそ利用者に喜んでもらう介護ができるはず」という。

     妊娠中は職場で所長から無視され、次第に同僚からも孤立していった。マタハラを受けていると市長に手紙を出し、労働局などにも相談したが問題は解決せず、精神的に追い詰められていった。14年2月に無事女児を出産したが、その後うつ病と診断された。

     困難のなかで裁判に立ち上がることができたのは、夫や家族の支えと、13年12月に労働組合(北九州地区労連・北九州地域一般)に加入したことも大きな力になった。各地の集会などに参加し、裁判支援の署名を8000筆以上集めた。市議会や県議会でも取り上げられ、マタハラの予防・根絶に向けた行政の取り組みが議会で議論された。

     「今回の判決はマタハラをなくしていくための第一歩。今後も団体交渉で会社の(誠意ある)対応を求めていきたい」と西原さん。同社は13年度に女性が働きやすい企業が認定される「なでしこ銘柄」に選ばれているが、その実態との落差もただしていくという。

     出産以降医師からは就業を止められており、いまも時たま記憶の喪失などの症状がある。しかし「出産したら子どもを見せに行く」という利用者との約束を果たすためにも、西原さんは職場復帰をめざしている。