「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    2016年07月02日 ニコンと和解「運動の成果」/雇い止め裁判/非正規労働者に希望

     株式会社ニコンで派遣労働者として5年7カ月勤めた後に直接雇用されたものの、半年後に雇い止めされた元契約社員の裁判が6月28日、金銭和解で決着した。原告の濱谷和久さん(34)は「会社を和解協議のテーブルにつかせたのは運動の成果。非正規労働者が当然の権利を主張できるようになるためには、同じ立場の者が労働組合に団結して立ち上がることが重要だ」と話している。

     濱谷さんは写真の専門学校を卒業後、2008年2月から派遣労働者としてニコン相模原製作所に勤務。主力製品である精密機器のレンズを洗浄する業務などに従事していた。13年9月、会社は濱谷さんを契約社員として直接雇用したが、半年後の14年3月、一度も契約を更新せず「減産」を理由に雇い止めした。

     裁判の焦点の一つは「期待権」の有無だった。派遣時代の契約更新は20回以上に及び、派遣元はニコンのグループ会社。直接雇用後も業務は変わらず、事実上ニコングループでの連続した雇用だった。通算6年以上勤めた原告は長期安定雇用の期待権があると主張していた。

     原告代理人の佐々木亮弁護士は「満足できる水準の和解が成立した。裁判では派遣や有期雇用労働者に厳しい傾向が続くなか、トラブルを抱えた非正規労働者に希望を与えるもの」と指摘。原告が加入する首都圏青年ユニオンの神部紅委員長は「次の闘いにつながる画期的な和解だ」と述べた。