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    労組共闘で雇い止め阻止へ/全大教などが集会/東北大学の脱法方針を批判

     東北大学が3千人以上の非正規職員を雇い止めしようとしている問題で10月11日、その撤回を求める緊急集会が国会内で開かれた。国公立大学の教職員組合が加盟する全国大学高専教職員組合(全大教)の長山泰秀書記長は、「教育、研究、医療の質を守り国民のための大学であり続けるためにも、職員の雇い止めを絶対に阻止したい」と訴えた。

     集会は東北非正規教職員組合、首都圏大学非常勤講師組合、全大教の3団体が合同で主催し、民進、共産、社民など野党各党の国会議員も参加した。

     

    ●改正法の趣旨に逆行

     

     東北大学で雇い止めの可能性があるのは、事務職、技術職などの非正規職員約3200人だ。背景には、職員の無期雇用化を回避しようとする大学側の脱法的な姿勢がある。

     2013年4月に施行された改正労働契約法では、5年超働くことが見込まれる有期契約労働者が希望すれば期間の定めのない雇用に転換できると定めている。しかし大学側は契約更新の上限を一律5年以内とするよう就業規則を変更。無期転換権が発生する勤続5年の直前に職員を雇い止めする方針を今年2月に表明した(7月16日付で詳報)。

     雇用安定を図るというのが改正法の趣旨。それに逆行する雇い止めは許されるのかどうか。中村和雄弁護士は「今いる職員に対し、就業規則を変えて一律に雇用上限を設定することは、不利益変更に当たり許されない」と指摘する。

     

    ●「この秋以降が勝負」

     

     こうした当局の脱法的な動きに対し、東北大学職員組合(全大教加盟)は、団体交渉などを通じて法律通りに希望者全員の無期雇用化を要求してきた。8月末には多数の当事者を含む約1200筆の職員署名を提出している。

     東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合の両労組も、当局との団交で雇い止めの違法性を追及。9月21日には宮城県労連を含めた4労組連名で、全員の無期転換を求める共同声明を発表した。

     東北非正規教職員組合の佐藤完治さんは「この秋以降が勝負」と指摘。大学が雇い止めを予定しているのは18年3月末以降だが、この秋から手続きが始まる契約更新の際に、1年後の雇い止めへの同意書の提出を強制してくる可能性が高いという。佐藤さんは「組合間の協力体制を進め、非正規職員の結集に向けあらゆる手立てを講じたい」と述べた。