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    〈自民党改憲草案〉(3)/内閣による独裁体制へ/緊急事態条項の行き着く先

     緊急事態条項が発動されると、何が起きるのでしょうか。改憲草案の条文をチェックしてみましょう。

     まずどんなときに緊急事態宣言を出せるのかです。武力攻撃、内乱、大規模な自然災害のほかに「その他の法律で定める緊急事態」もOKとされており、これがくせ者。法律次第でなんでもありになりかねません。大規模な反政府デモの実施で、緊急事態を宣言することもあり得ます。この「法律で定める」という表記は条文中に8カ所出てきます。国会による承認は事後でもよく、宣言の及ぶ期間は100日で、延長の上限もありません。

     いったん宣言されると、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を出すことが可能になります。国会に与えられた立法権が内閣に移るということ。そうなれば、今ある法律を変えるのは簡単です。さらに内閣総理大臣は財政支出や地方自治体の首長に指示できる権限を持ちます。内閣に権限が集中する独裁体制です。

     国民については、「何人も国や公の指示に従わなければならない」と規定。憲法が保障する基本的人権はないがしろにされます。国民は政府への服従を強いられることになります。

     

    〈表〉緊急事態条項の中身は…