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    非正規に冷たい「働き方改革」/法律家団体が相次ぎ提言/安倍政権のぎまん性を指摘

     安倍「働き方改革」に対し、日本労働弁護団と自由法曹団が10月、相次いで提言を発表した。いずれも非正規雇用を減らす意思のない政府の「改革」の欺瞞(ぎまん)性を指摘している。

     労働弁護団は10月7日、有期雇用と派遣労働を原則禁止する「入口規制」と、合理的理由のない格差禁止の立法提言をまとめた。提言は、政府が「非正規という言葉をなくす」といいながら、非正規雇用を減らす意思がない事実を指摘。不安定雇用の拡大に歯止めをかける立法を政府に求めている。

     入口規制は欧州で行われている。民主党政権時に検討されたが、使用者側の反発が強く、労働政策審議会で取り下げた経緯がある。

     自由法曹団は「改革」全般に批判を加えている。政府の「同一労働同一賃金」について「限定正社員の賃金を引き下げ、非正規労働者の賃金を多少引き上げ、両者の賃金を平準化させる危険がある」「正規・非正規の格差を固定化する」と批判。使用者に格差の合理性に関する立証責任を負わせるなどの法整備を求めている。その上で、ただ働きと過重労働を招く労働基準法改正案の撤回を要求。政府が示す改革は労働政策審議会で検討すべきなどとしている。