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    〈自民党改憲草案〉(6)/「個人」は尊重しなくていい?/人権より国家を優先

     「国民一人一人がかけがえのない存在として大切にされる」というのが憲法13条の趣旨。これは「公共の福祉」に反しない限り尊重されることになっています。ところが、自民党改憲草案は13条を「公益及び公の秩序に反しない限り、人として尊重される」と書き換えています。これはどういう意味でしょうか。

     憲法の規定には、「職業選択の自由」があります。でも、医師になりたいからと、勝手に治療を行えば他者の命を脅かしかねません。他者を傷付けないために一定の歯止めが必要です。この場合、安全な医療を行う保障として医師免許が義務付けられています。公共の福祉とは、このように権利(職業選択の自由)と権利(健康に生きる権利)の調整のことです。

     一方、改憲草案の「公益及び公の秩序」は抽象的で、何が対象になるのかがはっきりせず、結局は「権力側の都合」で判断される恐れがあります。しかも、さまざまな権利を持って生きる「個人」を、ただの「人」に置き換えています。「国家の構成員」という性格を強調するためでしょう。個人の権利より国家を優先する姿勢の現われです。