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    2017年

    2月

    04日

    「今後3年かけて準備を」/水町勇一郎東京大学教授/ガイドライン案の狙い語る

     政府の「働き方改革実現会議」が昨年まとめた「同一労働同一賃金ガイドライン案」について、策定に深く関わった水町勇一郎東京大学社会科学研究所教授が都内で講演し、狙いを語った。昨年、同案を前倒しで発表したのは、2019年春の改正法施行(予定)までに3回の春闘を挟むことで労使によるルールづくりを促し、浸透と定着を図るためであると説明した。中央労働委員会主催の会合(1月27日)での講演。

     

    ●「寸志数万円はだめ」

     

     「ガイドライン案」は、雇用形態間の均等・均衡待遇を確保し、同一企業内での同一労働同一賃金の実現を図るとしている。基本給、手当、福利厚生について、格差が合理的かどうかを例示した。日本の雇用慣行を踏まえ、労使の話し合いによるルールづくりを求めている点が特徴だ。

     同案は、今後労働政策審議会を経て、今年中に関連法案が出され、19年4月施行となる予定。水町教授は「2年3カ月の間に十分準備をしてほしい。そのためには施行までに3回ぐらい春闘があった方がいい」と語った。

     案は基本給について、職能給、業績・成果給、勤続給などを念頭に合理的かどうかの例を示している。この活用について、職能給や勤続給など複数の要素で構成されている賃金を各要素ごとに整理し、均等・均衡を説明できる制度にすることが必要と説く。そのためにも、「正社員賃金の透明性が必要」と語った。

     もう一つの焦点が賞与・一時金。案は「会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合」と仮定した上で、「同一の貢献である有期、パート労働者に、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない」としている。

     同教授は「有期やパート労働者が貢献していないとは言えない。逆に働く側から言えば、『これだけ貢献している』と言える。ゼロとか、寸志4万円とかではダメということ」と述べ、組合には積極的な活用を、事業者には真剣な検討を呼びかけた。

     

    ●使側の説明義務ない

     

     退職金、住宅手当、家族手当に関する記載が同案にないと批判されていることには、「違法であるとかないとかは挙げていないが、すべての労働条件について労使で点検してほしいというのが主旨」と説明。正社員の処遇を引き下げることで均等・均衡を図ることには、「厳に慎むべき。やってはいけないことだ」と断言した。

     焦点の「事業主の説明義務」(ニッポン一億総活躍プラン)、格差が合理的かどうかの使用者側の立証責任については、会場からの質問に答える形でコメントした。法律技術的には2通りの盛り込み方が考えられると述べ、「どちらかは必ず入れるように説明することになるだろう」と述べ、原案には反映されていないとの認識を示した。

     同案は罰則規定は設けない予定だという。実効性を担保するには、労使によるルールづくりとともに、組合のない圧倒的多数の職場では、格差が合理的かどうかの説明義務を使用者に負わせることが必要になる。この点は今後の大きな注目点となるだろう。