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    インタビュー/〈人手不足と春闘〉/公共交通にふさわしい処遇を/木村敬一私鉄総連書記長

     人手不足が深刻になってきた。少なくない産業で高齢化が進み、「このままでは産業・企業が維持できない」という悲鳴さえ聞こえる。折しも春闘。人員を確保し、離職を防止する有効な手立ての一つが賃上げ、処遇改善であることは間違いない。人手不足が指摘される産業の労働組合幹部に状況と決意を聞いた。第1回は私鉄総連の木村敬一書記長。

     

    ●欠車防止も限界に

     

     ――現在の要員状況はどうなっていますか?

     木村 特にバス職場が深刻で、労使とも「(トラブルや体制が整わないなどの理由で運休せざるを得なくなる)欠車を生じさせてはならない」と必死でやっている。責任と誇りをもって日々の仕事をこなしているものの、長時間労働になり、もう限界に近いといわれる。日本全体の労働力不足の中で、募集してもなかなか人を確保できない状況だ。

     国土交通省のデータ(2014年4月)によれば、バス運転者の離職率は1年目で29%。4年目になると48%にはね上がる。採用できても定着が難しい。

     

    ●具体策乏しい政府施策

     

     ――いつごろから深刻化したのですか?

     木村 2007年ごろから問題となり、特に顕著になったのは2013年ごろから。この年の春闘オルグに入ったときに、地方の組合から要員不足を訴える声が相次ぎ、要望が出された。私鉄総連として政府に対策を求め、国会でも取り上げてもらった経緯がある。その結果、国交省は「バスの運転者の安定的な確保及び育成に向けたロードマップ」を作成。今年度(2016年度)を最終目標に設定して、官民学が連携して取り組むことになっていた。ただ、器は作ったものの、具体的な手立てが取られたとはいいがたい。これまでの検証と新たな対策を求めていく。

     ――業界団体であるバス協会の認識は?

     木村 人手不足への対策として、労働条件を引き上げる必要があるという認識は共有している。そうはいっても全てを労使関係でやるには限界があるのも事実だ。

     

    ●一労使では打開困難

     

     ――年末には臨港バス労組がストライキを行いました。要員問題を背景に、安全運行の確保を求めたと聞いています。

     木村 やはり交通政策との絡みがあり、政策実現の運動として進めるべきだろう。ストは不誠実団交や交渉が行き詰ったときの最終手段としてはあり得るが、基本は交渉を積み重ねながら解決を目指すことが求められる。

     

    ●処遇アップの施策を

     

     ――ではどういう対策が必要なのでしょう?

     木村 例えば、介護や保育の業界では「給与の2万円上乗せ」といった施策が打ち出されたりしている。バス事業は住民の足を守る公共交通であり、社会的インフラだ。特に地方は経営的にもきびしく、予算措置を含めて国として産業維持に責任をもってほしい。春闘時期には、こうした点をもっと社会にアピールしていきたい。