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    「野党法案に上限明記を」/残業規制に注文相次ぐ

     政府の残業上限規制で、年720時間(月平均60時間)が示される中、野党に具体的な数字を示すよう求める声が上がっている。野党(民主、共産、社民、自由)が昨秋共同提案した長時間労働規制法案では上限規制を設けるとしたが、水準は示されていない。過労死認定水準をも認める政府の上限規制に対抗するには具体的な対案が必要、という主張である。

     政府の規制案は年360時間、月45時間の罰則付きの上限を定めたうえで、臨時的で特別な事情がある場合として年720時間(月平均60時間)まで許す内容。正式には提案されていないが繁忙期については、月100時間や、2カ月平均80時間などが検討されていると報じられている。

     一方、野党案はいち早く労働時間の上限を定める規定を盛り込んだが、具体的な水準は厚生労働省令で定めるとしているだけ。国会論戦では、首相に「省令に丸投げしている」と攻撃されても有効な対案を打ち出せず、上限規制論議が大詰めを迎えながら主導権を握れていない。

     この問題で東京地評や自由法曹団が2月22日に行った会合では、「4野党法案に上限時間を明確にするよう声を強めるべき」との意見が相次いで出された。労働規制の強化に早くから取り組んできた鷲見賢一郎弁護士は、時間外労働が月45時間を超えると、業務と病気発症との関連性が徐々に強まるとする厚生労働省通達を紹介。「現行の年360時間、月45時間を定めた厚労省大臣告示には根拠がある。この水準をもっと主張していくべきだ」と強調した。

     残業上限規制をめぐる政府の論議は3月末までに結論を出す予定。その後は労政審を経て法案化され国会で審議される。