連合は3月31日、29日現在の春闘回答状況をまとめた。300人未満の中小組合が昨年同時期よりも前倒しで回答を引き出していることに加え、昨年同一組合で賃金改善・ベア分がプラスとなっている。非正規労働者の賃上げ率が時給で正社員を上回っている点も特徴だ。
連合が同日の会見で示したのが、賃上げ分を明示できる1155組合の分析。300人以上の中堅・大手では昨年、ベアが千円超と千円以下の組合の数はほぼ半々だったが、今年は千円以下が1割弱多い。一方、中小は今年、千円超の組合が若干だが上回っている(グラフ)。
ベア・賃金改善分の昨年同期比(同一組合)でも、大手はマイナスだったが、中小は100円のプラスと健闘している。神津里季生会長は「インフレ前提のかつての春闘ならば3月半ばの集中回答で全てが決したが、中小が大手を上回る傾向が出てきている。これまでの春闘の常識とは明らかに異なる傾向がこの段階で表れてきている」と今後に期待を寄せた。
連合中小共闘センターの宮本礼一委員長(JAM会長)は中小の経営者の姿勢は依然慎重だと報告した上で、「これからがヤマ場。しっかり交渉を支援して早期解決を図り、未組織職場に波及させられるよう相乗効果を発揮したい」。
非正規労働者の時給引き上げは単純平均24・63円で昨年同期より4円余りのプラス。平均時給で割ると、賃上げ率は2・55%。正社員の賃上げ率(2・05%)を上回る。
正社員・無期契約への転換、雇用形態にかかわらず育児・介護休暇を利用できる制度の整備、36協定特別条項縮減や休息時間規制、残業縮減など労働時間関連に取り組む組合が今年は増えている。
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