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    残業規制、夏までに結論/労政審スタート/労使合意の枠内で細部詰める

     労働時間の上限規制新設など「働き方改革実行計画」の策定を受け、労働政策審議会の審議が4月7日始まった。連合と経団連の合意の枠内で、適用除外の扱いや指針の策定など、細部を詰めていく。6~7月をめどに結論を出し、秋の臨時国会に法案を提出する見通しだ。

     塩崎恭久厚労相は、法案の早期提出という首相の指示を踏まえ、「できるだけ早期に結論を」と要請。生産性向上と新たな付加価値創出につながり、「成長と分配の好循環のエンジンとなる」と意義を語った。5月連休前には、勤務間インターバル規制(休息時間保障)の普及促進、パワハラ防止に関する検討会を発足させると述べた。

     「合意」の枠内で、労使双方が補強を求めた。

     労働側は、年720時間の残業上限規制に休日労働が含まれていないことによる悪用の防止や、罰則、監督体制の強化、管理監督者やみなし労働適用者への健康確保について議論が必要と主張。適用が5年程度猶予される建設労働者、医師について、前倒しの検討や、当事者の声を聞く場の設置を求めた。

     5年後に年960時間以内(休日労働は含まない)の規制を適用し、通常の規制の適用が先送りされる自動車運転業務について、運輸労連の労働者委員は「改善基準告示(現行規制)と変わらない。『トラックドライバーは置き去りにされた』との声が寄せられている」と述べ、一般労働者と同様の規制を適用するよう苦言を呈した。同省は、荷主団体を含めた協議を他の関係省庁と調整して開始するという。

     使用者側からは上限規制の新設を「画期的」と評価する意見が出たほか、施行までの十分な準備期間、環境整備を求める意見が出された。