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    「労働組合の役割大きい」/連合がシンポ/ワークルール教育の推進へ

     連合は4月20日、都内で「労働教育および主権者教育に関するシンポジウム~若者が安心して学び働ける社会の実現に向けて~」を開いた。神津里季生会長は「ワークルールが顧みられないことで格差が拡大してしまった。労働者が本来持っている権利を知ることがいま必要だ」と訴えた。

     

    ●高校現場は対応困難

     

     パネル討論ではワークルール教育で労働組合に期待される役割について話し合われた。

     上西充子法政大学教授(キャリア教育)は「厚生労働省もワークルール教育の導入について検討を始めているが、労働局の職員が出前授業をするというもの。ブラックバイトとの闘い方を知るには労働組合が必要。法律を使った運動で労働者を守ってきた経験を語れるのは労働局ではなく労働組合だ」と指摘。

     神奈川県の高校教師、中山拓憲さんは「高校生や大学生が被害に遭うブラックバイトは深刻だが、労働問題について知識がある教員は少ない」と実情を語った。「現代社会」の授業で組合と協力して試してみたが、現場では既に全体の授業時間数が増えており、実践は難しいと指摘。ワークルール教育を制度化してほしいと期待を述べた。

     

    ●推進法の成立を

     

     労働法の知識を広く普及するワークルール教育推進法の制定を求めている菅俊治弁護士(日本労働弁護団常任幹事)はこう語った。 「高校生にワークルールの講義をしたら『でも実際に文句を言ったら職場にいられなくなる』と言われた。これでは不十分だと思い、後日、先生と生徒を招き、労働組合の専従と実際に起きた労働争議について考える授業を行った。ワークルール教育を国策で設ける必要がある。法律ができれば、より広範囲での教育が可能になる。労組専従者が教育と密接に関わることを検討するべきだ」

     石橋通宏参議員(民進党)は、超党派の国会議員でつくる非正規雇用対策議連が提案したワークルール教育推進法案について「労働者はもちろん、経営者も対象にすべき。学校、職場、地域で、健全な企業を応援するために必要な法律だ」と述べ、今国会で成立をめざすと決意を語った。