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    〈目指そう!  核兵器禁止条約〉4 被爆国の責任は私たち自身に

     「他国より強い核戦力の保持が必要」(米トランプ大統領)、「戦略核の軍事能力を強化」(ロシア・プーチン大統領)など米ロの核軍拡姿勢が強まっています。そうした中でつくられる核兵器禁止条約。核兵器廃絶への道筋は見えてくるのでしょうか。

     対人地雷禁止条約(オタワ条約)とクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)がその手本になるという意見が出されています。

     両条約ともNGO団体が各国へ働きかけ、つくられたのが特徴。オタワ条約は当初「成立不可能」と言われていましたが、昨年までに162カ国が批准・加入しました。十数年間加入を拒否してきた米国も2014年に条約加入の意思を表明しています。

     オスロ条約への参加は100カ国に過ぎません。しかし、当初は消極的だった日本が世論などを踏まえて方針転換。09年に批准し、自衛隊が全てのクラスター爆弾を廃棄するなど、条約は世界を動かしています。

     核兵器禁止条約の交渉会議で演説した日本被団協事務局次長の藤森俊希さんは帰国報告会でこう述べています。「昨年、被団協はヒバクシャ国際署名をスタートさせましたが、まさか1年後に条約の交渉会議が始まるとは想像していませんでした。世界が大きく回転したことを感じています」

     条約発効には、各国での条約批准手続きが必須。それぞれの国の世論がその鍵を握ります。交渉会議を退席した日本政府の姿勢を変えられるかどうかも国民の声次第。被爆国の責任と義務が問われているのは、私たち自身です。